2020 Fiscal Year Annual Research Report
Structural changes of hetero-oligomers in the Protein Data Bank
Project/Area Number |
18H03331
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 元規 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (40290895)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 立体構造 / 構造変化 / 構造機能相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質のヘテロ複合体の多くは過渡的でアロステリーとも関連し,生理活性を高度に制御調節する.タンパク質の構造変化と機能発現は密接に関係しているので,ヘテロ複合体の構造変化には,その独特な機能発現機構を解く鍵が潜んでいる.本研究ではPDBに格納された全ヘテロ複合体を対象に立体構造比較を行い,構造変化を大規模,系統的に解析して運動を分類し,俯瞰する.この時,申請者らが開発した,複合体の構造比較法:SCPCと,立体構造変化の同定・記述法:Motion Treeを利用する.得られたデータからヘテロ複合体特有の構造変化を同定し,生物学的機能と立体構造変化との相関(因果関係)を考察する.本研究ではPDB中の全ヘテロ複合体について大規模な構造比較を行い,構造変化を分類する.どのような構造変化が見られるのかをファミリー横断的に調査する.過渡的複合体が行う制御調節やアロステリーなどと関連するヘテロ複合体固有の運動を抽出し,複合体やサブユニット,相互作用面の立体構造の特徴や分子機能との関係性を明らかとし,その生物学的意義を考察する.本研究では簡便性の観点から,まずヘテロダイマーに焦点をあてて解析を実施する.本研究は以下の4工程よりなる.1. ヘテロ複合体構造を求める.構造変化を求めるために構造対を求める.2. 構造変化を計算し,データ化する,3. データを解析,分類し,機能との関連を調査する.4. 結果のデータを公開する.得られた統計データは以前に取得したホモダイマーの統計データと比較する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ解析を役務として依頼していた他機関を本務とする研究者が,本務で新型コロナウイルスの治療薬に関する研究業務に従事した結果,本課題の遂行に遅れが生じた.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までに信頼できる生状態のヘテロ複合体の構造を取得する方法を確立し,本年度にて結合様式の一致をみるプログラム,SCPCと,結合様式が一致した構造対について構造変化を調べるプログラム,MotionTreeについて全ての計算を終了することができた.これらを精査し,どのような運動が見られるのかの統計をとる.現在でもタンパク質単位で統計をとることはできるが,類似したタンパク質が多く登録されていると統計にバイアスが生じる.このような冗長性を取り除くためにタンパク質の立体構造を分類したデータベース(SCOP)の情報を利用する.ヘテロダイマーで,もしくは類縁性のあるヘテロダイマー,ホモロガスヘテロダイマーで,SCOPの情報を考慮したファミリー単位の統計をとり,運動と機能の関連を調査する予定である.
|