2018 Fiscal Year Annual Research Report
人間の意思決定の深層モデル化に基づくヒューマンコンピュテーション基盤の構築
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18H03337
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 聡 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30346100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒューマンコンピュテーション / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象に対する総合的な評価だけでなく,複数の観点からの評価が与えられた多基準評価データにおいて,複数の人からの評価値の統合や評価値の予測を行う際に,深層ニューラルネットワークを用いる方式を提案した.異なる構造の深層ニューラルネットワークモデルと他の既存モデルを,実データにおける評価値統合および評価値予測の実験によって評価した.その結果,まず各観点の評価値を予測し,それに基づいて総合評価値を予測する深層ニューラルネットワークモデルが,他のニューラルネットワークモデルや既存モデルよりも優れていることが明らかになった.一方,深層ニューラルネットワークを使ったモデルは一般にブラックボックスであり,その出力結果を人間が解釈することが難しい.そこで,人間が書いた評価文を訓練データとして用いて,多基準評価データに対してその評価の理由を説明する文を自動生成する方式を,再帰ニューラルネットワークの一種であるLSTMにアテンション機構を導入したモデルで構築した.タスクの難しさを評価することはヒューマンコンピュテーションや教育への応用において重要な課題である.数学の問題に解答するタスクにおいて,人間の解答から項目反応理論で推定したタスクの難易度を正解として用いて,深層ニューラルネットワークで難易度を予測するモデルを学習した.その際,問題の異なる特徴表現を用いて学習したモデルを,さらに統合して用いるモデルが,個々の特徴表現だけを用いたモデルよりも優れた予測精度を示すことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のタスクに対してクラウドソーシングを行ってデータ収集したり,公開データを取得したりすることにより,研究を遂行するための準備を順調に行うことができたため.また,実際に深層ニューラルネットワークを用いたモデルを構築し,従来手法を上回る性能や,従来手法では困難であった機能を実現できることが確認できており,一部の結果については国内学会や国際ワークショップにおいて発表を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた初期の研究成果を発展させ,国際会議やジャーナルでの発表を目指す.さらに,参加者間に相互作用が発生するより複雑な意思決定問題においても,深層学習によるモデル化を行いその有効性を検証するとともに,モデルの説明可能性の実現についても検討を行う.
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