2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of basic technology of large-size full-color static 3D display by computer holography
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18H03349
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松島 恭治 関西大学, システム理工学部, 教授 (70229475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コンピュータホログラフィ / 3次元立体画像 / 静止画ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,現行の高解像度計算機合成ホログラム(以下,CGH)が有する共役像の問題と,照明光源がCGHの観察を阻害しその非回折光の光輝が観察者に見える問題,またRGBカラーフィルタ方式ではカラーフィルタの広帯域特性により再生像にボケが生じる問題の解消または軽減に取り組んだ.本研究では,最終的には,高解像度CGHが有するこれらの諸問題を解消し,さらに複数のCGHをタイリングすることにより大型の静止画ディスプレイ技術を確立することを目指している. そのため,主として,(A)高解像度 CGH を体積ホログラムとして転写する技術と,(B)共役像と照明光源の問題,の二つに分けて課題に取り組んだ.このうち(A)は,カラーフィルタ方式が抱える問題点への対策である.3次元構造の干渉縞を有する体積ホログラムには,照明光の中の特定の波長のみで選択的に再生する波長選択性の性質がある.そこで,三原色の波長でそれぞれ計算した3枚の高解像度CGHを原版としてこれを3枚の体積ホログラムに転写し,それを重ね合わせて再生する積層体積型フルカラーCGHの技術を開発した.その結果,従来のカラーフィルタ方式フルカラーCGHより遥か高画質なフルカラー再生像が得られることを確認した. 一方,項目(B)は,共役像と非回折光,さらに光源そのものが再生像の観察を阻害する問題への対策である.共役像問題の解決方法として,透明な厚膜レジスト層のサブミクロンオーダーの厚さ変化により照明光の位相を変調して共役像を抑制する技術を開発した.これにより像がCGHの前に飛び出す空中像再生の再生が容易になる.位相型だけではなく,振幅型で照明光の入射角を増大させる干渉縞オーバーサンプリング技術を開発した.これにより壁掛けに近い状態でCGHが再生できるようになり,インパクトのある静止画ディスプレイを作成することができるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の当初の研究計画書においては,下記を研究課題としている. (A)高解像度CGHを体積ホログラムとして転写する技術,(B)位相変調型CGHの計算作成技術,(C)干渉縞パターンの高解像度化,(D)端面入射型コヒーレント光源の導入 このうち,(A),(B),(C)については,「研究実績の概要」で述べたとおり,当初予定通りか少し早いぐらいで研究が進んでいる.これらについては基礎技術の開発はできたので,次は大型化への展開となる. 一方,(D)については,未だ展示に足る再生像が得られていない状況であり,この点では進展が見られない.そのため,総合的には「おおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主として次の技術開発を行う. (A)フルカラー積層体積型CGHの大型化,(B)フルカラー多重転写体積型CGHの開発,(C)位相変調型CGHにおける位相変調誤差補正技術,(D)再生像の曲面に生じるクラックを消去する技術,(E)フルカラーCGHのタイリング技術,(F)フルカラーCGHの照明技術 このうち(A)と(B)は,2018年度行った高解像度CGHの体積ホログラムへの転写技術の発展である.体積積層方式のフルカラーCGHは,カラーフィルタ方式よりもはるかに高品質な再生像が得られることが分かった.そこでこの方式のCGHを大型化する研究を行う.単純に面積を大きくして転写するだけでは,転写レーザーの強度が下がって周辺部の転写がうまくいかないため,転写レーザー光をスキャンする技術を開発する.(B)も同様に,転写によりカラー化する技術であるが,(A)では3枚のフォトポリマーに転写して積層するのに対してRGB3枚の原版CGHを1枚のフォトポリマーに多重転写することによりフルカラー再生を行う.転写時の位置合わせが正確にできれば,積層体積方式よりも簡単にフルカラーCGHが作成可能と期待される. (C)は多値位相変調型CGH技術の発展である.多値位相変調型CGHにより共役像除去ができるが,照明光の入射角が大きい場合には,位相変調度に誤差が発生し,共役像が発生することがわかった.そこで,この誤差を補正し共役像を低減する.(D)は物体光波計算技術の改良である.現行の計算技術で作成したCGHで曲面を再生すると,見る角度によっては曲面にクラックがあるように見える問題がある.そこで,シルエットマスクではなく,サーフェースマスクを導入したより精密なオクルージョン処理技術を開発する. (E)と(F)はCGHの大型化およびそれを「見せる」技術の開発であり,本研究課題の集大成となるものである.
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Remarks |
2018年度は,「未来へ飛び出せ3D」企画展,東京農工大学科学博物館(2018.4.28-2018.9.1)や,「コンピュータホログラフィによる驚きの3D映像」,JSTフェア2018,東京ビッグサイト(2018.8.30-2018.8.31)など,国内で2件,国外で2件の展示活動を行った.
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Research Products
(25 results)