2019 Fiscal Year Annual Research Report
Verification and quantification of export of organic carbon from coastal vegetated ecosystems to outer ocean and subsequent long-term sequestration
Project/Area Number |
18H03354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮島 利宏 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20311631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20513641)
堀 正和 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主任研究員 (50443370)
浜口 昌巳 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主幹研究員 (60371960)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 沿岸湿地生態系 / 環境DNA / 生態系モデル / 有機炭素隔離 / 海草藻場 / マングローブ / 比表面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに開発がほぼ終了しているマングローブと海草の主要種に対するDNAバイオマーカーを活用して、沿岸湿地生態系(CWE)の沖合約50kmの範囲の陸棚堆積物中に移出隔離されているCWE由来有機炭素の分布の評価を実施した。当初計画では9月に沖縄県石西礁湖、2020年3月にフィリピン・パラワン島沿岸において現地調査を実施する予定であったが、後者は新型コロナウィルス感染症の拡大が懸念される状態になったため中止し、その代わりに産業技術総合研究所で本年に八重山諸島近海で実施された調査航海(GK-19)において取得された表層堆積物のサンプルの一部を提供して頂いて分析することにより、八重山近海を対象に調査の範囲を陸棚域だけでなく水深1000mを越える海域まで拡大した分布評価を行った。取得したサンプルすべてに対して有機炭素含有量とその安定同位体比、比表面積・細孔分布、炭酸塩含量、マングローブ及び海藻由来のDNA断片コピー数を分析して比較を行った。その結果、CWE周辺の浅海域ではマングローブ由来の有機炭素は沖合まで流出して隔離されているのに対して、海草由来の有機炭素の蓄積はCWE内部にほぼ限られていることが示唆された。また1000mを越える水深の海域において、特に八重山諸島北側の海域で、マングローブ由来有機炭素の貯留が有意に検出された。この結果は並行して開発している流動場生態系モデルからの予測とも整合的であった。 また、前年度に実施されたフィリピン・カラミアン諸島近海での調査で採取された表層堆積物ならびにコア試料のさらに詳細な分析を進めた。こちらでも八重山近海と同様にマングローブ由来有機炭素の沖合堆積物への流出隔離が認められたことに加え、堆積物の吸着特性との関係においてマングローブ由来と海草由来の有機炭素の分布様式が顕著に異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度前半までの段階では、現地調査(八重山諸島・フィリピン近海)や分析手法開発(DNAバイオマーカー)などの研究活動は概ね計画通りに進展しているのに加え、炭酸塩堆積物における一般的な炭素貯留特性の研究や大型藻類に対する新規DNAバイオマーカーの開発等では、当初の予定を越える成果も出ている。また2020年度からはブルーカーボンの評価手法確立のための別の大型プロジェクトが開始され、本研究の代表者・分担者も主要研究者として参画していることから、双方の研究活動の相乗効果が期待される。その一方、2019年度末頃からは新型コロナウィルス感染症の拡大とそれに伴う活動制限の影響を受けるようになって、現地調査の予定を延期もしくは中止せざるを得なくなるなどの影響が出ており、また今後の進捗にも大きな懸念が出ている。したがって総体的に見ると現段階では概ね当初計画に従った進捗レベルにあると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は野外における現地調査と実験室における分析活動を主要な要素とするものであるため、新型コロナウィルス感染拡大防止に向けた施策、特に移動制限・渡航制限、在宅勤務の奨励(強制)により、研究の進行が著しい制約を受けている。これに対応して現地調査に関しては調査サイトの変更(移動制限の範囲内での調査)や、調査そのものを中止して過去の調査活動で得られている試料の分析で代替できる要素に関しては代替する、といった措置を検討しており、一部は既に2019年度末から実施に移している。このため2020年度における研究活動には当初計画に対する遅延が発生することが避けられないと予想しており、このことを踏まえて、2021年度以降の移動制限緩和をにらみつつ一部の研究計画を次年度以降に延期し、またそのために使用することが想定されている予算の次年度への繰越をも視野に入れ、周到な準備の上で研究を推進していく。
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Research Products
(3 results)