2018 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated analysis of regime shift of Asian PM2.5 pollution
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18H03359
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 秀一 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (10714537)
王 哲 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (30791602)
弓本 桂也 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (50607786)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PM2.5汚染レジーム / 経年変化 / 東アジア / 野外観測 / モデルシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東アジア域でのPM2.5の主要要因のSO2→NO2→NH3への汚染レジームの経年的な変化を念頭においた観測データ・数値モデル解析を行い、汚染レジームの動態解明、将来予測、NH3の重要性の確認・提示を目指している。そのために、2017年度から始まった環境省のEANET局でのエアロゾル成分自動測定結果などの解析と同時に、パッシブサンプラーによるNH3観測を福岡市の九州大学等と長崎県福江島で1~2週間平均値として測定を開始した。その結果をもとに、本研究では、十分に解析されなかった観測データをNH3の重要性の側面から再解析を進めている。観測は2018年5月から開始しており、福江島でのNH3濃度の季節変化の特徴をほぼとらえることが出来た。一方、福岡市内では、都心部の福岡大学、郊外の春日市九大キャンパス、太宰府市の3地点での観測結果は冬季でもNH3は冬季でも高濃度を示し、冬季のエアロゾルの粒子化に重要であることを確認した。 観測解析と並行して、GEOS CHEM化学輸送モデルを用いたNH3とNH4の重要性の解析を行った。中国ではこの5,6年でSO2の排出量はピークから1/4程度に減少したが、NH3排出量は微増の傾向が見えている。その結果、従来はSO4粒子がPM2.5の主成分であったが、SO4生成が減少した分NH4NO3の生成が進むと考えられることから、化学輸送モデルを用いた発生源を削減した感度解析を進めて、主に冬季のPM2.5成分の変化に着目した成果の取りまとめを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定されていた福岡・福江島でのパッシブサンプラーを用いたNH3測定が順調に継続している。また、中国の排出量の変動を加味したモデル解析も第一段階が終了して、S/N比の変動が予測され、観測値の傾向を説明出来ていることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、長崎県福江島と福岡近郊でのNH3の観測を秋まで継続して昨年度までの観測結果と統合して1年半程度のNH3データを整備する。さらに、2017年4月から環境省が主導して福江島と福岡市(福岡大学)に導入されたエアロゾル化学成分連続自動分析装置(Continuous Dichotomous Aerosol Chemical Speciation Analyzer, ACSA-14; 紀本電子工業製)の1時間観測値と福岡大学サイトに導入された自動イオンクロマトURG大気イオンメータ9000Dからの1時間毎のガス(NH3, HNO3など)とエアロゾル成分も入手してNH3ガスを含むガス・エアロゾルの季節変化と地域変化の解析を進める。また、URG-9000DのデータNH3とパッシブ方式のNH3の測定を行い、パッシブ方式のNH3測定の精度を確認する。福江島では国立環境研究所が行っているAMS自動測定器のPM1成分データの利用をはかり、人為汚汚染の少ない地点でのNH3, NH4を含む微小粒子の挙動を解析する。 中国では2013年から2018年にかけて、SO2排出量は1/3程度に、NOxは3/4程度に減少しているが、NH3, VOCは増加の傾向があり、その結果、中国本土でのNO3粒子の生成量の増加、その結果としてのNO3の越境汚染量の増大が懸念されている。その傾向は寒候期に多いと考えられるので、NO3の経年変化の観点から観測データの整理と化学輸送モデルGEOS CHEMによる感度解析計算を進め、日本周辺でのPM2.5濃度レベルの変化とその組成の変動解析を中心に研究を進める。
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Research Products
(1 results)