2018 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析によるDNA損傷応答システムの破綻により生じる疾患発症因子の同定
Project/Area Number |
18H03372
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡 泰由 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (60762383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | DNA損傷応答システム / ゲノム不安定性 / 遺伝性疾患 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷応答 (DNA damage response, DDR)システムの破綻によって、ヒトでは様々な病態を示す遺伝性疾患を発症することが知られているが、依然として、疾患発症原因が不明なものが多く残されている。昨今の大規模ゲノム解析研究から、健常人のゲノムにも数多くの遺伝子変異が存在することが明らかにされてきた。エクソーム解析を行ったとしても、疾患原因遺伝子変異の絞り込みが困難なため、確定診断に至るのは20-30%程度といわれている。本研究の目的は、ゲノム解析結果とプロテオーム解析データを統合することで、ゲノム解析のみでは候補遺伝子を絞り込むことができなかった、DDRシステムの破綻によって発症した遺伝性疾患の発症因子を特定し、DDRシステムと多様な病態を示す遺伝性疾患との関連性を明らかにすることである。 エクソーム解析のみでは候補遺伝子変異の絞り込みには至らなかった、胎児期からの低身長、小頭症、大脳基底核と脳室周囲の石灰化を主徴とした、DDRシステムの破綻によって発症することが知られているゼッケル症候群疑いと診断された患者由来の不死化血球系細胞について、プロテオーム解析を実施した。その結果、核酸代謝関連酵素の蛋白質発現が健常人由来細胞と比較して顕著に低下していることを見出した。さらに、プロテオームデータの詳細な解析から、当該蛋白質が細胞内で相互作用している因子の発現量も低下していることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソーム解析のみでは候補遺伝子変異の絞り込みには至らなかった、DDRシステムの破綻によって発症したことが疑われる症例について、プロテオーム解析により疾患発症の原因となり得る候補因子を絞り込むことができたため。また、当初の想定通り、プロテオーム解析から、疾患発症関連因子の蛋白質発現低下に加えて、細胞内で疾患発症関連因子と複合体を形成することで安定化している蛋白質についても発現量の低下を検出することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
エクソーム解析のみでは候補遺伝子変異の絞り込みには至らなかった、DDRシステムの破綻によって発症したことが疑われる症例について、引き続きプロテオーム解析を実施する。DDRシステムの破綻によって発症したことが疑われる症例の追加収集を行う。プロテオーム解析により絞り込みに成功した因子について、蛋白質の発現低下の原因となり得るイントロンならびに転写調節領域の変異を同定するために、全ゲノム解析とRNA-seq解析を実施する。プロテオーム解析により同定された疾患発症関連因子が機能未知の場合は、分子機能解析を実施する。
|
-
-
[Journal Article] Functional and clinical relevance of novel mutations in a large cohort of patients with Cockayne syndrome2018
Author(s)
Calmels N, Botta E, Jia N, Fawcett H, Nardo T, Nakazawa Y, Lanzafame M, Moriwaki S, Sugita K, Kubota M, Obringer C, Spitz MA, Stefanini M, Laugel V, Orioli D, Ogi T§, Lehmann A.
-
Journal Title
Journal of Medical Genetics
Volume: 55
Pages: 329~343
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Cerebellar ataxia-dominant phenotype in patients with ERCC4 mutations2018
Author(s)
Doi H, Koyano S, Miyatake S, Nakajima S, Nakazawa Y, Kunii M, Tomita-Katsumoto A, Oda K, Yamaguchi Y, Fukai R, Ikeda S, Kato R, Ogata K, Kubota S, Hayashi N, Takahashi K, Tada M, Tanaka K, Nakashima M, Tsurusaki Y, Miyake N, Saitsu H, Ogi T, Aihara M, Takeuchi H, Matsumoto N, Tanaka F.
-
Journal Title
Journal of Human Genetics
Volume: 63
Pages: 417~423
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-