2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of reproductive toxicity and nonlinear reaction mechanism of bisphenol A analogues in food containers
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18H03381
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50303988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 章子 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (00336629)
永瀬 久光 岐阜薬科大学, 薬学部, 名誉教授 (40141395)
木村 朋紀 摂南大学, 理工学部, 准教授 (70340859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フルオレン9-ビスフェノール / エストロゲン作動性 / 内分泌かく乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年我々は、ビスフェノールAの代替品であるフルオレン9-ビスフェノール(BHPF)が、ヒトに曝露している可能性を示すとともに、エストロゲン受容体の強力なアンタゴニストとして作用することで、生殖発生毒性を示す可能性を示した。しかしながら、BHPFはハザードとして認識すらされてこなかったことから、その毒性に関する詳細は不明な点が多い。そこで今年度は、まずBHPFの一般的な毒性を把握するために、経口投与での28日間反復投与毒性試験を行うとともに、雌性生殖機能への影響について検討を行った。高用量群(93.75 mg/kg/day)と低用量群(75 ng/kg/day)の2群のBHPF投与群を設定し検討を行ったところ、どちらの用量も体重増加量、摂餌量、投与終了後の主要臓器の重量等には影響を与えなかった。また陽性対象群としてタモキシフェン(TAM:1 mg/kg/day)についても検討を行ったが、前述のエンドポイントには影響を与えなかった。さらに性周期に対する検討を行ったところ、TAM投与群において、性周期サイクルの有意な減少、休止期と発情期の期間の有意な短縮と発情後期の有意な延長が確認されたが、BHPF投与群では性周期サイクルの減少傾向が認められたものの、それ以外の影響は認められなかった。 さらに我々は、エストロゲン応答性レポーターマウスとin vivoイメージングを用いてBHPFのin vivoにおけるエストロゲン作動性についても検討を行った。その結果、BHPF単独投与ではエストロゲン作動性を示さなかったものの、エストラジオールとの併用投与時においては、in vitroにおける検討結果とは異なりむしろエストロゲン作用の増強傾向を示した。以上の結果から、BHPFはin vivoにおいては抗エストロゲン作用ではなく、エストロゲン作用を増強することで、生体影響を与える可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、BHPFの一般毒性と雌性生殖機能への影響を検討するために、28日間の反復投与毒性試験を実施し、93.75 mg/kg/dayという高用量においても、体重増加や臓器重量といった非特異的な毒性は認められず、成獣においてはさほど毒性は高くないことを確認した。また先行研究においては、in vitroで強力なアンタゴニスト作用を示したことから、生殖毒性を有する可能性が懸念されたが、陽性対象に用いたタモキシフェンが雌性マウスの性周期期に異常を来したのに対し、BHPFにおいては特段の影響が認められなかった。このように成獣に対しては一般毒性が認められないという結果は、先行研究の3日おきに投与を行った亜慢性毒性試験の結果と一致するものであった。 しかしBHPFには発生毒性を示す可能性が見出されていることから、in vivoにおける詳細な作用機構を調べるために、独自に作製したエストロゲン応答性レポーターマウスとin vivoイメージングを用いてBHPFのin vivoにおけるエストロゲン作動性について検討を行った。その結果、BHPFは卵巣を摘出してエストロゲンを枯渇させた状態においては、エストロゲン作用を全く示さないが、エストラジオールと併用投与を行った場合には、抗エストロゲン作用ではなくエストロゲン作用を増強する作用を有することを見出した。したがって、BHPFの生殖発生毒性の原因は、この作用に起因している可能性が疑われた。 このようにBHPFの毒性評価ならびに毒性発現機構の解明を着実に行っており、本研究は概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きBHPFのハザードとしての特徴付けを行うとともに、ヒトにおける曝露状況について、中国での調査研究を進める。 <BHPFのエストロゲン作動性と生殖発生毒性との因果関係の解明> これまでに認められた発生毒性の再検証とその作用機構を探るために、妊娠マウスを用いた実験を行う。妊娠マウスに毎日連続でBHPFを経口投与し、体重などを観察する。生まれてきたマウスの産仔数や体重などをモニタリングする。また産仔数が少ない場合は、途中で屠殺して胎盤と胎仔を摘出して着床状態の組織学的解析を行う。別の先行研究において、妊娠期におけるTAMの投与が子宮筋層腺を薄層化することで胎児死亡率を増加させることが報告されていることから、本検討においてもこの点に特に注目して検討を行う。また本論文では、TAM投与群で子宮筋層腺におけるナチュラルキラー(NK)細胞数の減少が報告されている。BHPFの発生毒性についてもNK細胞数の減少を伴った妊娠免疫不全を引き起こしている可能性があるので、その点についても検討を行う。 <ヒトにおけるBHPF曝露量と健康影響に関する疫学的調査> 北京大学人民医院に来院している月経不順の患者を対象に、BHPF曝露との因果関係について検討を行う。既に症状が明らかとなっている患者で、インフォームドコンセントにより同意が得られたボランティアを対象に、月経予定日直前に血液を採取する。また試験開始前に、妊娠歴、喫煙歴および飲酒歴等の問診を行うとともに、試験期間中は飲酒、喫煙は差し控えるように伝える。得られた血液中のBHPF量、プロゲステロン、エストラジオール、炎症マーカー等を測定することで、性周期とBHPF濃度の因果関係を探る。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Evolutionary Exploitation of Vertebrate Peroxisome Proliferator-Activated Receptor gamma by Organotins2018
Author(s)
Ana M.F. Capitao, Monica S. Lopes-Marques, Yoichiro Ishii, Raquel Ruivo, Elza S.S. Fonseca, Ines Pascoa, Rodolfo P. Jorge, Malanie A.G. Barbosa, Youhei Hiromori, Takayuki Miyagi, Tsuyoshi Nakanishi, Miguel M. Santos, L. Filipe C. Castro
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Journal Title
Environmental Science and Technology
Volume: 52
Pages: 13951-13959
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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