2018 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫タンパクの進化原理を模倣した抵抗性害虫出現に負けないタンパク質殺虫システム
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18H03397
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 令一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30235428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天竺桂 弘子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80434190)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 殺虫性タンパク質 / Bt毒素 / Cry toxin / ABC transporter |
Outline of Annual Research Achievements |
①殺虫タンパク質上のABCC2結合領域の解析:表面プラズモン共鳴法で結合性を評価し、またカイコガABCC2を発現させた培養細胞が死ぬかどうかで細胞障害活性を評価する計画で、40種類の殺虫タンパク質変異体を作製した。その結果、Cry1Aa毒素のループ2およびループ3の付け根の部分が結合に重要であることが明らかになってきた。しかし、多くの変異体は大腸菌で正しいホールディングをとらなかった。そこで、これらの変異体の評価のために、これまでとは違った大腸菌生産方法を考案し、目下20余りの変異体を作製中である。 ②活性の弱いものしかない現実を打破する方法の創生:コクヌストモドキのABCC4をカイコガ蛹にバキュロウイルス発現系で大量生産し、これを用いて、コクヌストモドキのABCC4に結合性を持つCry8Ca毒素を選抜するバイオパニングのシステムを構築した。すなわち、コクヌストモドキに対して活性が弱いCry8Ca毒素に変異を入れ、Cry8Ca毒素変異体の中からコクヌストモドキの毒素受容体であるABCC4により結合性の高いものを選抜するための基盤技術を完成した。 ③別の害虫に効くものに変換する方法の創生:②と同様にしてカイコガABCC2を大量に準備し、カイコガABCC2に結合性を持つCry毒素を選抜するための基盤システムを構築した。 ④ABCC2以外の受容体の探索:Cry1Daなどのカイコを殺すがABCC2を受容体として使えない毒素の受容体を「これらの毒素に結合性を持つタンパク質」の中から探し出す方法の構築を開始した。まずはモデル実験系の確立を目指し、アミノペプチダーゼNやポリカリンが結合性タンパク質であることが知られているCry1Aa毒素に対してプルダウンアッセイを試みた。結果、アミノペプチダーゼNやポリカリンは単離できたが、真の受容体であるABCC2やカドヘリン様タンパク質は単離できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「②活性の弱いものしかない現実を打破する方法の創生」や「③別の害虫に効くものに変換する方法の創生」と言った本研究で最も中核をなす部分の研究が順調に進んでいる。「①殺虫タンパク質上のABCC2結合領域の解析」や「④ABCC2以外の受容体の探索」においては結論は出せなかったが、それらを出すために必要な諸条件が明らかになってきたので、結論が得られるのもそう遠くないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①殺虫タンパク質(Cry1Aa毒素)上のABCC2結合領域の解析:昨年度作製した殺虫タンパク質変異体を新しい方法で作製し、カイコガABCC2への結合活性を表面プラズモン共鳴法で、また細胞障害活性をカイコガABCC2を発現させた培養細胞を用いて評価する。 ②活性の弱いものしかない現実を打破する方法の創生:昨年開発した「コクヌストモドキのABCC4を結合させたビーズを用いた変異体選抜法」を用いて、コクヌストモドキに極めて弱い活性しか持たないCry8Ca毒素の変異体の中からこの昆虫により強い活性を持つ変異体の選抜を試み、「活性の弱いものしかない現実を打破する方法の創生モデル」とする。 ③別の害虫に効くものに変換する方法の創生:昨年度完成させたカイコガABCC2を結合させたビーズを用いた変異体選抜法を用いて、コウチュウ目を殺すCry8Caの変異体の中からチョウ目のカイコガに効くものを選抜し、「別の害虫に効くものに変換する方法の創生モデル」とす る。 ④ABCC2や3以外の受容体の解析:ABCC2や3を受容体としないことが分かっているCry1DやCry1C毒素に結合するタンパク質をプルダウンアッセイでカイコガ中腸細胞から濃縮する。具体的には、アミノペチダーゼNやポリカリンを取り除いてから、Cry1DやCry1C毒素に結合するタンパク質をマススペクトロメトリーで同定する方法を確立し、真の受容体を引き当てる方法とする。
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Research Products
(6 results)