2019 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル回収を指向した金属輸送体の重複発現制御による金属複合汚染浄化植物の開発
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18H03401
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
清野 正子 北里大学, 薬学部, 教授 (30239842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レアメタル / 金属輸送体 / 金属複合汚染 / 浄化植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,葉肉細胞特異的にmT-Sapphire-MerC-AtVAM3を発現する系統の1つを用いて検証したところ,亜ヒ酸耐性の傾向を見出した。本年度は独立の2系統を用いて詳細な解析を行った。プレート栽培および水耕栽培の結果,葉肉細胞特異的にMerC-AtVAM3を発現する2つの系統はともに亜ヒ酸耐性を示した。これら形質転換系統では野生型に比べて,とくに地上部の生育が亜ヒ酸による阻害を受けにくいことがわかった。さらに,無機水銀耐性についてプレート栽培で調べたところ,形質転換系統では無機水銀ストレス下での地上部の生育が野生型よりも優れる傾向が見られた。 また,昨年度に引き続き,水銀耐性細菌のmerオペロン由来の重金属輸送体を多重発現するシロイヌナズナを作出し,有害元素のファイトレメディエーションの効率化に挑戦する新たな分子育種を進めた。多重発現ベクターとして使用するColorful circuitベクターの発現の安定性を目的とし,翻訳エンハンサー配列と強力なターミネターを導入したベクターを昨年度作成した。作成した4重オルガネラマーカー発現ベクターをシロイヌナズナに導入し,形質転換体の選抜と解析を行った。改変した4重発現ベクター導入株では,安定的に4つのオルガネラマーカーが発現していることを共焦点レーザー顕微鏡で確認した。この改変ベクターを用いて,現在Mer輸送体多重発現ベクターを構築し,現在,シロイヌナズナへの導入を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉肉細胞特異的Mer発現系統について,導入遺伝子による亜ヒ酸や無機水銀耐性の向上という前向きな結果を得ている。多重発現系統については,多重発現ベクターの改変による導入遺伝子の安定的発現を確認し,Mer輸送体多重発現系を作成中である
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Strategy for Future Research Activity |
葉肉細胞特異的Mer発現系統の亜ヒ酸耐性が顕著であったため,無機水銀に加えて亜ヒ酸に焦点をあて耐性の詳細について解析を進める。植物体内のヒ素・水銀の蓄積・分配パターンを定量解析し,耐性と蓄積性の関係性を解明する。多重発現系統については,Mer輸送体多重発現系統の作成を進め,得られた系統の導入遺伝子の安定的発現性を定量PCRと蛍光タンパク質の顕微鏡観察により解析する。確立された系統について,水銀やヒ素の蓄積性を解析する。
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Research Products
(4 results)