2019 Fiscal Year Annual Research Report
アーバンマインの高度利用による資源循環・環境調和型高清浄・機能材料の創成
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18H03405
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小野 英樹 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (30283716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 循環性元素 / リサイクル / 元素間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
省資源、省エネルギー、炭酸ガス排出量削減の観点から、高度循環型の製鉄プロセスの構築が指向されており、将来に向け鉄源としての鉄スクラップの使用比率向上が最も重要な課題となっている。その一方、近年、様々な機能を持った合金の普及やスクラップ形状の複雑化などにより、スクラップ使用時における種々の不純物元素の混入は避けられない上に、既存のリサイクルプロセスにおいては非常に除去が困難である循環性元素が存在する。今後のスクラップ使用比率向上により予想される鋼中循環性元素濃度の上昇が鋼品質におよぼす影響を正確に把握し、①循環性元素の無害化、②スクラップ利用の拡大、③高価な合金元素添加量の精緻制御、さらには④新たな合金鋼・高機能鋼開発・製造に結びつけるためには、その基盤として鉄中循環性元素に関する熱力学データを整備することが重要である。それらの熱力学データ中でも特に重要となる溶鉄中Cu,Snと合金・遷移金属元素間の熱力学データとして、FeならびにFe-18Cr中Sn-M(B,Ni, Mo)間の相互作用係数を求め、溶鉄中Sn-M間において必要な熱力学データは概ね確立した。Fe中Cuの熱力学データについて、引き続き合金元素の対象を広げて測定を進めている。 さらに、循環性元素は他元素との反応性が低く、反応に直接関わるよりも相互作用の影響で、他の晶析出反応に影響をおよぼす。一方で、希土類元素(REM)は還元反応性が強く、また固-液間の分配係数が小さく凝固時に液相に偏析する性質を有するため、凝固界面において晶析出反応に関与する可能性が大きい元素である。したがって凝固界面においては、循環性元素とREMが直接反応に関与する可能性がある。その検討のために必要となる循環性元素と希土類元素間の熱力学データの測定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の範囲内で進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のスクラップ使用比率向上により予想される鋼中循環性元素の中でも最も重要なCu濃度の上昇が鋼品質におよぼす影響を正確に把握し、①Cuの無害化、②スクラップ利用の拡大、③高価な合金元素添加量の精緻制御、さらには④新たな合金鋼・高機能鋼開発・製造に結びつけるための基盤となるCuと種々の遷移元素、合金元素間の熱力学データの整備を行う。前年度に引き続き、溶鉄中Cuと種々の合金・遷移金属元素(Ti, Mn, Nb, Mo, W)間の熱力学データを得ることを目的として研究を進める。本研究のアウトプットにより、溶鉄中循環性元素の代表であるCu, Snに関する熱力学データを整備する。 さらに、循環性元素は他元素との反応性が低く、反応に直接関わるよりも相互作用の影響で、他の晶析出反応に影響をおよぼすことが多い。一方で、希土類元素(REM)は還元反応性が強く、また固-液間の分配係数が小さく凝固時に液相に偏析する性質を有するため、凝固界面において晶析出反応に関与する可能性が大きい元素である。したがって凝固界面においては、循環性元素とREMが直接反応に関与する可能性がある。その検討のために必要となるCu-REM(La, Ce, Nd)間の熱力学データを測定する。これらを通して、循環性元素Cuを含む溶鉄の晶析出物の挙動を把握するために必要な溶鉄中Cuと遷移金属元素、希土類元素間の熱力学の基盤を完成させる。
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Research Products
(6 results)