2018 Fiscal Year Annual Research Report
Increasing efficiency of carbon dioxide recycling reaction using integrated reaction system by membrane reactor
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18H03419
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上宮 成之 岐阜大学, 工学部, 教授 (60221800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 学 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60538180)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メンブレンリアクター / プロセス強化 / 二酸化炭素 / アンモニア / 水素 / 複合化 / 触媒活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素透過膜を隔壁として設置した二重管型膜反応器(メンブレンリアクタ-)を用いて、アンモニア分解と二酸化炭素のメタン化を組み合わせた複合化反応プロセスを検討した。反応器内で物質移動とともに吸熱反応と発熱反応を組み合わせることで熱移動を良くし、化学反応プロセスの省エネルギー化を最終目標としている。本年度は市販のルテニウム触媒では活性が不十分なため、まず触媒探索を実施した。アルミナおよびジルコニアに塩基性金属酸化物を添加したものを担体として使用した各種ルテニウム系触媒を調製して活性試験を実施したところ、アンモニア分解ではRu/Ba(1)/γ-Al2O3が、メタン化では塩基性物質を担持しないRu/ZrO2が高活性であった。市販のRu/Al2O3触媒と比較して、調製した触媒を用いることで各反応の転化率が向した。これはアンモニア分解側の水素生成速度およびメタン化側の水素消費速度が向上し、膜透過の推進力となる水素分圧差が大きくなり、水素除去効率が向上したためと考えた。 二重管型膜反応器では分離膜の外側(環状路)と内側(管内路)で触媒充填量が異なり、管内路では分離膜の内径で最大充填量が決まる。そこで触媒充填量を変えられる環状路にアンモニア分解触媒を、管内路にメタン化触媒をそれぞれ充填して、充填量の影響を検討したところ、アンモニア分解は充填量の影響を受けるが、メタン化は充填量を少なくしてもアンモニア分解からの水素の透過量が増加することでより進行することがわかった。 熱移動に関しては、水素分離膜の支持体素材は熱伝導性が優れた方が好ましいが、多孔体であるために反応器内での熱移動に及ぼす影響は小さいと考えられ、まずは触媒(粒径)充填、反応物の流速の影響を調べるための装置作製を検討した。本年度で検討した装置ではまだ伝熱挙動を明らかにするには課題が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンモニア分解反応と二酸化炭素のメタン化反応の複合化反応については、とりわけアンモニア分解触媒の活性向上が膜反応器の性能への影響が大きいことから、触媒調製に重点をおいた。その結果、今後の触媒膜作製のための基礎的知見が多く得られ、研究が大いに進捗したと言える。 伝熱性の良いパラジウム複合膜の作製は、熱伝導度に優れた素材の多孔質膜を探すとともに、そのような素材で新規に多孔質膜を製作できるところを探したが、ステンレスなどの限られた素材でしか対応できないところが多く、次年度の課題として持ち越すこととした。 反応器内の伝熱解析については、温度分布の測定が可能な反応器の設計を行った。納品の遅れから、反応中の温度分布の測定までには至らず、次年度の課題として持ち越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度新規に作製した二重管型膜反応器にてアンモニア分解反応と二酸化炭素のメタン化反応を実施する。この反応器は触媒層内ので温度分布を小さく、触媒層内の温度分布を測定できるよう複数の熱電対が使用できるように設計されており、反応器内での温度分布、反応ガスおよび生成ガスの温度を解析することで、反応の進行状況(物質収支)や熱収支を明らかにする。それらのデータを活用して、膜反応器の複合化反応のモデル作成を試みる。またアンモニア分解および二酸化炭素のメタン化の反応速度、パラジウム複合膜での水素透過速度を解析してそれぞれの速度式を得る。昨年度の実験結果から、アンモニア分解触媒の活性が複合化反応全体の結果に大きな影響を与えること、塩基性物質の添加により金属活性点あたり触媒活性は向上するが、金属分散度が低下するために塩基性物質の添加効果がみられなかったことがわかった。そこで本年度は、担持金属の出発物質をかえて影響を調べ、金属分散度の向上を目指す。また、担体上での活性金属および塩基性物質の状態について調べ、触媒を高活性化するための要因を明らかにする。 また水素消費反応として、二酸化炭素のメタン化とともにメタノール合成も検討する。銅系触媒を中心にアンモニア分解温度より若干高い温度で実施し、反応で生成した熱を吸熱反応側に速やかに移動できることを目標とする。触媒開発に関して、熱によるシンタリングがおきにくい構造にすることを試みる。 熱伝導性に優れた多孔質支持体の開発として、イオン液体等を活用してステンレス上にアルミニウムを析出させ、それを陽極酸化することで比表面積の大きなアルミナ層を作製することを試みる。このアルミナ被覆多孔質ステンレス管を用いたときの総括伝熱係数を求め、従来から使用している多孔質アルミナ管と比較して、多孔質管の素材の伝熱に及ぼす影響を明らかにする。
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Research Products
(5 results)