2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of production and distribution system for fresh fish and shellfish aiming at environmental conservation type
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18H03425
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 奈保子 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70323855)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオレメディエーション / 耐塩性微生物 / オオミジンコ / 遊泳阻害率 / 染料 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は本研究の3つの基盤技術のうち、耐塩性微生物を用いたバイオレメディエーション技術において、バイオレメディエーション前後の毒性評価系の確立を目的とし、オオミジンコ (Daphnia magna) を用いたミジンコ急性遊泳阻害試験を行いました。具体的には、バイオレメディエーションに用いたSN-3菌の菌体とバイオレメディエーションの対象である合成染料およびSN-3菌脱色後の合成染料の急性毒性を評価しました。染料の選択としては、SN-3菌による脱色可能な合成染料のうち、使用頻度が高く、環境汚染が懸念されるアゾ染料3種 (Food Red No.2, Reactive Black 5, Reactive Red 120) とキサンテン染料1種 (Food Red No.104) を選定して毒性評価を実施しました。高い毒性が確認された染料については、当該菌脱色処理後の毒性評価を実施しました。試験方法は化学物質の毒性評価の国際的なガイドラインであるOECDテストガイドライン (OECD-TG) およびOECD-TGをベースにした生体影響評価事業で用いられている方法を参考にしました。実験に供した合成染料4種のうち、Reactive Red 120およびFood Red No. 104がミジンコに対して急性毒性を有することを明らかとしました。当該菌による脱色処理前後におけるReactive Red 120(終濃度25 mg/L)およびFood Red No. 104(終濃度15 mg/L)の毒性の変化をミジンコ遊泳阻害率により評価した結果、Reactive Red 120では73.3%から0%、Food Red No.104では100%から26.7%と遊泳阻害率が低下したことから、染料毒性の低減が確認されました。また、SN-3菌の菌体および生理活性物質のミジンコに対する急性毒性は見られなかったことから、当該菌を用いた処理後の環境毒性は観察されないことが確認され、海洋環境から単離した耐塩性微生物SN-3菌による合成染料を対象としたバイオレメディエーション技術の有用性と前後の毒性評価系を確立することができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの基盤技術のうちの①耐塩性微生物を用いたバイオレメディエーション(注1)による水質保全技術について、OECDテストガイドラインに基づく、ミジンコ急性遊泳阻害試験の条件を確立することができました。また、耐塩性微生物SN-3菌による合成染料を対象としたバイオレメディエーション技術の有用性と前後の毒性評価系を確立することができたことから、順調に進展していると評価しました。 (注1)バイオレメディエーションとは、生物の機能を用いた環境浄化方法
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究における別課題として設定した「当該菌を用いたバイオレメディエーションによる水質保全技術を漁場(現場)に適応するため、漁場や沿岸域の環境有害物質の濃度に適用した環境を実験室内にモデル系として構築し、条件を確立する」については、重金属除去試験に使用していたICP装置に不測の故障もあり、重金属を対象とした実験が遅れています。今後は今年度報告した染料に加え、重金属を対象とした研究を遂行して行く予定です。また、基盤技術②環境負荷低減と鮮度保持を兼ねた加工技術および③バイオサーモメーター(BTM) (注2)による流通管理技術の改良についても進めていく予定です。 (注2)バイオサーモメーターとは、申請者が開 発した生鮮食品の鮮度と積算温度を可視化するツール
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