2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of production and distribution system for fresh fish and shellfish aiming at environmental conservation type
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18H03425
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 奈保子 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70323855)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重金属 / Pb / 染料 / 塩濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本研究の3つの基盤技術のうち、【耐塩性微生物を用いたバイオレメディエーション】において、以前に不測の事態で実施できなった重金属を含めた検討を行った。具体的には、工業的に多用されるアゾ染料の中でも、Pestalotiopsis sp. SN-3菌による脱色能が確認されているアゾ染料 3種および生態毒性が報告されている重金属 (鉛 [Pb]) を対象物質とした。染料を各7 mg/L、Pbを0.1 mg/Lに複合し、塩濃度を調整した人工海水 (NaCl 0, 1.5, 3%) に、アルギン酸カルシウムを用いて作製した固定化SN-3菌を培養した後、培養上清を吸光度測定および重金属濃度測定を行い、染料脱色率および重金属濃度の変化を測定した。対照として、菌を含まずに固定化したアルギン酸カルシウム区 [Ca-Alginate] 、固定化していないSN-3菌区、SN-3菌およびアルギン酸カルシウムを含まない菌未接種区 [Control] を設置した。検討した3種の染料いずれについても、固定化SN-3菌は固定化していないSN-3菌と同程度の脱色率を示した。また、Pb濃度はControl (0.1 mg/L) から固定化SN-3菌による除去でNaCl 3%の場合0.01 mg/Lまで低下して、NaCl 0%および1.5%の場合は、いずれも検出限界 (0.01 mg/L) 以下まで低下した。固定化していないSN-3菌においては、ControlとのPb濃度変化が見られなかったことから、SN-3菌はアルギン酸カルシウムを用いて固定化することで、Pb除去の効率化が可能であることが示された。以上のことから、人工海水を用いた固定化SN-3菌の培養において、複合染料脱色およびPb除去が確認され、塩濃度に影響を受けやすい微生物処理において、固定化SN-3菌は有用性を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つの基盤技術【バイオサーモメーター(BTM) による流通管理技術の改良】について、以前本研究で改良したWST-8型BTMを用いて、福島県産ヒラメを対象として実証試験を行った。実証試験においても、WST-8型BTMの吸光度とヒラメの鮮度指標K値との間に非常に高い相関関係が得られたことから、実物流においても、WST-8型BTMによる鮮度の可視化が可能であることが示された(学会発表実施済)。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3つの基盤技術のうち、【① 耐塩性微生物を用いたバイオレメディエーション】においては、Pestalotiopsis sp. SN-3菌と同属の菌株を用いて検討を行う。また、対象にマイクロプラスチックを含めた検討を行う。【② 環境負荷低減と鮮度保持を兼ねた加工技術】については、両者を組み合わせた新しい指標の提案を行う。【③ バイオサーモメーター(BTM) による流通管理技術の改良】については、汎用性を検討するために、別の魚種を用いた実証試験での検討を行う。
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