2018 Fiscal Year Annual Research Report
小規模漁業地域におけるリーダーシップ、および社会的団結力の生成メカニズムの研究
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18H03427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木山 正一 京都大学, 農学研究科, 助教 (20293920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小規模漁業 / 漁業資源管理 / 社会協力選好 / ソロモン諸島 / 慣習制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、持続可能な小規模漁業のために必要とされるリーダーシップや社会団結力がどのような社会的、文化的、地理的要因から生成されるのか明らかにすることであり、まずはその分析に供する漁業者の漁獲行動などの情報収集が必要である。その情報収集には、漁業者の漁獲行動など一連の情報を聞き取り調査する質問票などの調査デザインを確定する必要がある。 そこで2018年度は、パイロットサーベイ先であるソロモン諸島に入り、ソロモン諸島国立大学海洋学部長Kofi博士の協力を得て、漁業の全体像を理解するために、政府水産省、NGO/国際機関であるSIDT, Workd Fish, WWF, UNDO, JICAにおいてインタビュー調査を実施した。また、個別漁村へのアクセスにはKofi博士とSIDT所員の現地コーディネーターの協力を得て、西ガダルカナル地方のベラフエ地区を訪ね、6漁村集落の漁業者にインタビューなどフィールドワークを実施し、どのように漁業を営み、漁獲、他の漁業者との協力関係、漁船や漁具、資源管理、漁の規範づくりの方法、地元の慣習制度などについての情報を収集した。 調査の結果、1)漁民は簡素は船と漁具しか持たず、2)伝統的慣習制度Wantokの役割が漁業における規範作りに大きな役割を果たしていることがわかり、また3) 漁獲物は、家庭消費と他者への寄付に加え、販売も最近では行われてきていることが明らかになった。これらの知見得た地域を調査対象地と決定し、また現地同行した小規模漁業のソーシャルキャピタルに詳しいオーストラリアタスマニア大学Yamazaki博士の協力を得ながら、2019年度に予定する本調査のデザインを確定し、そのための質問票の構成までを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、主にソロモン諸島の小規模漁業漁村を対象にして現地調査を進めていくが、現地大学研究者やコーディネーターなしには成し得ない。ソロモン諸島国立大学Kofi博士をはじめ、同大学スタッフとの交流・合同現地調査もでき、次年度の調査への協力も得られており、研究チーム体制は順調に築けてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り、2019年度は、ソロモン諸島ガダルカナル州西ガダルカナル一帯にある複数漁村の漁業者を対象とした本調査を実施し、本研究目的を達成するために必要な供試データを収集していくことを主な活動とする。そのため、まずは質問票を2018年度の現地聞き取り調査に基づいて完成させ、ソロモン諸島国立大学スタッフで構成する調査チームとともに何回かに分けて現地調査をしていく。また得られたデータを用いて、2019年度は特に社会的慣習制度Wantokが、漁業における漁業者間協力関係をどのように生成し、それが現金収入や消費のための漁獲行動にどのように影響しているのかについて分析する。
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Research Products
(4 results)