2019 Fiscal Year Annual Research Report
小規模漁業地域におけるリーダーシップ、および社会的団結力の生成メカニズムの研究
Project/Area Number |
18H03427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木山 正一 京都大学, 農学研究科, 助教 (20293920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小規模漁業 / 漁業資源管理 / 社会協力選好 / ソロモン諸島 / 慣習制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、伝統的な慣習制度下での小規模漁業活動において、どのように社会的関係が形成され、それが生産性や生活水準にどのように影響を与えているのか探求することである。その適地として、ソロモン諸島を対象とした。2019年7月、共同研究者であるソロモン諸島国立大学Kofi博士が現地調査チームを組織化して、西ガダルカナル地域8漁村で漁業者253名への聞き取り調査を実施した。 しかし、2022年に入り、コロナウィルス感染症の世界的拡大、ソロモン諸島も例外なく入国禁止が長期間続いたままとなり当初通りの現地調査が一部困難となった。 一方で、調査で得られたデータの計量分析によって、いくつかの知見が得られた。一つ目は、日常漁業は氏族関係によりやすく、他人に頼る漁業者ほど生産効率的で、頼られる漁業者は漁業日数を増やして生産性を上げることが分かった。二つ目は、漁場の資源環境について情報交換をする機会を持つことが、漁業者間の漁獲量格差を軽減し、特定漁具の利用より漁獲量を緩やかに増加することと関係していることがわかった。これらは、日本水産学会、環境経済・政策学会大会、太平洋諸島大学研究ネットワーク大会で発表報告した。また、現地調査結果を技術レポートとしてオープンアクセス公表をした。Otumawu-Apreku K., Higashida K., Yamazaki S., & Kiyama S. 2021. Artisanal fisheries in the Solomon Islands: The Wantok paradigm in West Guadalcanal. Technical Report of the 2018-2020 JSPS KAKENHI Project 18H03427. https://doi.org/10.14989/tr.afsi.2021.1
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年に入り、コロナウィルス感染症の世界的拡大、ソロモン諸島も例外なく入国禁止が長期間続いたままであることが、その理由である。これにより、当初予定していたソロモン諸島に出向いての調査が実施できなくなった。その間、計画延期や現地共同研究者だけで完結可能な調査法への計画変更も検討したが、度重なるソロモン諸島市街地ロックダウンと国内移動制限令のため現地活動自体も叶わなかった。結局のところ、電話による現地コミュニティキーパーソンへのフォローアップ調査に変えて、前回調査を補完することにした。このように、現地調査が困難な以上、漁業者の社会的関係の形成メカニズムを明らかにする情報収集は、文献による調査へ置き換えざるを得なくなった。ただし、この間、代替案を積極的に検討したり、さらにその妥協案を実施して、研究活動自体をストップさせず、遅れながらも目的に向かい進めてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症拡大による現地行動制限は徐々に緩和されてきているが、依然としてコロナ前のように平常化するわけではないのが現時点での見通しである。そのため、海外渡航に頼らない方法で研究目的を達成していく必要がある。具体的には、現地調査をソロモン諸島在住共同研究者によって完結できる方法で進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)