2020 Fiscal Year Annual Research Report
Factors for changing global institutions for sustainable development in terms of configuration of actors
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18H03428
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蟹江 憲史 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (90326463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 香菜子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70599125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SDGs / 持続可能な開発 / CSD / 国際制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
この時期までの研究成果を「蟹江憲史『SDGs:持続可能な開発目標』中公新書、2020年」にまとめ、出版した。一般向けの書籍であるものの、持続可能な開発論議の国連における進捗や、SDGs成立へ向けた交渉過程、ハイレベル政治フォーラム等の設立経緯など本研究の成果を生かした執筆を行った。同書では、国連と持続可能な開発に焦点を当てたセクションを設け、環境・経済・社会面の持続可能性の統合プロセスの中にこれを位置づけ、概念と制度的な展開をレビューした。中でも、環境と開発、つまり環境と経済活動に関する課題がアジェンダ21では真に統合された形で提示されていなかったことを明示したが、これは本研究の成果でもある。それまで政治的課題とさえ考えられていなかった環境の問題について、地球規模での環境問題が起こっていることや各国共通の環境問題の存在を政治的な課題の一つとしてはじめて取り上げたことの意義は大きい。しかし、例えば日本におけるアジェンダ21のフォローアップが、環境基本計画によって行われていたことに表れているように、それが環境と経済の課題の具体的な形での統合という本質に迫るには、まだ時間が必要であり、三側面を統合する言説が出来たリオ+20後に登場する「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」の設置を待たなければならなかったことを示した。 また、HLPFおよび国連アジア太平洋経済社会委員会による持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)にオンライン参加し、SDGs達成を目指す行為主体のアイデンティティやインタレストの変化、特にCOVID-19の影響による変化についても情報収集し分析した。COVID-19の影響により多くの行為主体が人と自然との関係、SDGs達成への関心をより重視するようになったものの、生態系保全や地方の復興などに関わる課題は後回しになりがちであることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスにより会議が中止となり、海外現地フィールド調査のための海外出張も中止せざるを得なかったため、分析に必要な情報収集が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで新型コロナウィルスの影響で実施できずにいたフィールドワークを実施する予定である。7、9月にはニューヨークの国連本部にて聞き取り調査を行うほか、7-8月にはワシントンDCにて調査を行い、CSDとHLPFとの相違点を明らかにする。また、得られた情報は9月に国連から報告するGlobal Sustainable Development Reportへの貢献としてまとめたのち、書籍あるいは論文によって公表予定である。2023年度は最終年度に当たるため、これまで収集した情報をとりまとめながら、CSDからHLPFに至る様々なステークホルダーのインタレストやアイディアの変化の違いを分析し、併せて今後の制度設計のあり方とアーキテクチャを示していきたい。
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