2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of quantum dynamics on foundamental level with weak values
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18H03466
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 祐司 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60282498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 泉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10262106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 弱値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の2年度目であった。本年では、前年度に行った、事後選択する状態の複数個を早く切り替えて量子チェシャ猫の挙動を探る実験の解析を進めた。その結果、猫と笑いの光路上の分離が逆転するような事後選択状態を2つ選び出し、高速スイッチを適用して、遅延選択実験としての結果が得られていたことが分かった。現在、投稿論文の準備をしている。さらに、数十キロヘルツで動作するスピン回転機を用いて、マッハ・ツェンダータイプの干渉計における2光路の同時弱測定の実験をウィーン工科大学(TU-Wien)との共同研究として、フランス・グルノーブルのラウエ・ランジュバン研究所(ILL)で行った。おおむね良好な実験結果が得られたので、出版に向けて解析の最適化を行っている。さらに、この実験の結果を応用してレゲット・ガーク不等式を用いた因果律に関する考察をも試みている。 並行して、北海道大学において、原子を用いた干渉実験を行うための環境整備を始めた。前年度の真空関係の機器の調達ののちに、本年度は、光学系の整備に着手した。当初は、MOTの完成を期待していたが、光源系の整備に時間がとられ、いまだに当初の目標を達成できていない。来年度の作業に期待している。この実験環境が達成されれば、北大で原子干渉実験を行うことが可能となる。それにより、ラウエ・ランジュバン研究所まで詣でるまでもなく、物質波干渉実験を遂行できる環境が得られることが期待されている。また、学生らの日常的な利便性の向上をも目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フランス・グルノーブルのラウエ・ランジュバン研究所での中性子干渉計実験は研究用原子炉の運転状況に依存しており、昨年度と同様に、十分なビームタイムの確保が困難であった。それにもかかわらず新たな2光路の同時弱実験を遂行した。前年度に行ったチェシャ猫の遅延選択実験のまとめと並行して、これから出版に向けて準備する予定である。 本年度はさらに、北大での干渉実験を行うための環境整備を始めた。真空装置導入に引き続き光学機器の調達にも思わず時間がかかってしまった。また、実際の作業として光源系の整備にも手間取り、全体として遅れている。これから、実際の光学系の整備をはじめ、経験者の協力を仰いで、多少なりともスピードアップを図れるようにするつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
3年度目では、まず第一に、量子チェシャ猫の遅延選択実験、および、マッハ・ツェンダータイプの干渉計における2光路の同時弱測定実験の出版を進める。後者においては、レゲット・ガーク不等式を用いた量子因果律に関する考察にも応用できると考えている。そして、多光路干渉計を用いた中性子干渉実験として、3体のチェシャ猫実験を行うことを目指す。まずは、使用する光学機器の整備から始めて、その性能評価を経て、最終実験に向けた準備を行う。 北海道大学における、原子干渉実験は、いくつかの実験装置の納入が終わり、やっと実験に取り掛かり始めた。まずは、それぞれの装置の基本性能の確認から行い、全体の装置をくみ上げている予定である。
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