2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of non-destructive elemental-analysis technique for biological samples
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18H03471
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿保 智 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60379310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若家 冨士男 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60240454)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 元素分析 / 非破壊計測 / イオンビーム分析 / 生体試料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イオン散乱計測法(ラザフォード後方散乱法と弾性反跳粒子検出法)を基本原理に用いた生体試料の非破壊三次元可視化技術の開発を目的にしている。 2019年度は主に、2018年度までに設計と部品の作製を行った5軸ゴニオステージと角度可変マイクロチャンネルプレートホルダーの組み立て、超高真空チャンバーへの組込および超高真空内での動作性能評価を行った。イオンポンプのみで真空度が、超高真空に到達することを確認した。ゴニオステージ各軸および角度可変マイクロチャンネルプレートホルダーの設計通りの動作を確認した。全ての軸に対して、ステッピングモーターが取り付けられており、真空チャンバーを開けることなくリモートで動作させることが可能である。弾性反跳粒子検出法のための試料ホルダ45度の傾斜が実現できることを確認した。動作範囲で真空チャンバー内の検出器やイオンカラムの対物レンズと干渉しないことを確認した。マイクロメートル以下での動作再現性と安定性については2020年度以降に走査型イオン顕微鏡法を用いて評価する。 ラザフォード後方散乱法と弾性反跳粒子検出法の同時計測では、軽元素から重元素までが計測対象になる。また、イオン散乱計測法を液体試料に対して行った場合の挙動についても観察する必要がある。そこで、軽元素と重元素を含み、かつ超高真空中でも安定的に存在可能な液体として、イオン液体(1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヨージド)を標準試料として選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、5軸ゴニオステージの真空チャンバーへの導入と動作検証を予定し、実行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、選定したイオン液体を超高真空チャンバーへ導入し、ラザフォード後方散乱法・弾性反跳粒子検出法、それぞれの単独計測と同時計測を行い、同時計測時の問題点を明らかにする。ラザフォード後方散乱法と弾性反跳粒子検出法同時計測のゴニオステージおよび試料ホルダの配置では、散乱粒子の飛行時間計測のスタートトリガである二次電子飛行経路がラザフォード後方散乱法のみの計測から大きく異なるため、同時計測時には二次電子飛行経路の差に伴う時間分解能の悪化が予想される。過去の研究でのラザフォード後方散乱法の場合と同様に二次電子検出器のシールド形状の最適化により、二次電子飛行経路差の抑制を行い時間分解能の改善を行う。 これに平行して、蒸気圧の高い水などの液体を超高真空へ導入するための試料ホルダを設計、作製する。作製した試料ホルダを超高真空チャンバー内へ導入し、イオン照射に伴うホルダの劣化や真空の悪化など、集束イオンビーム装置に与える影響について評価を行う。
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