2018 Fiscal Year Annual Research Report
低速陽電子回折によるトポロジカル近藤絶縁体表面の原子配列の可視化
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18H03476
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
和田 健 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (10401209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 徹郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80451889)
望月 出海 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (30579058)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 表面 / 陽電子 / 低速陽電子ビーム / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者らが開発した低速陽電子回折 (LEPD) 装置は,検出器にセンターホール付きの2層式遅延線アノード検出器 (DLD) を用いた低速電子回折 (LEED) 装置に,低速陽電子ビームの光学系を組み込んだものである。センターホール付きの DLD はカウンティングベースで非常に微弱なビームを用いた実験が可能な反面,十字状の広い不感領域があるため実験効率が悪く,かつこの不感領域がパターソン関数を用いた逆変換による解析の妨げとなっている。本研究では,この 2 層式 DLD にかえて,センターホール付き3層式(六角型)遅延線アノード検出器 (HEX-DLD) を LEED 装置に組み込んだ HEX-LEED/LEPD 装置を開発して,この不感領域の問題を解消した。開発した HEX-LEED/LEPD 装置の動作試験を LEED 用の電子銃からの電子ビームによって行ない,Ge(001)-2x1 表面からの,十字状の不感領域の無い,明瞭な回折パターンの取得に成功した。本装置は 1 秒あたり数個から数百万子という極めて微弱な電子/陽電子回折パターンの取得が可能で,LEED 用電子銃のウェーネルト電極電圧の調整による微弱だが良質なビームのみを用いた非常にシャープな回折スポットを得ることができた。遅延線アノード検出器を用いた十字状の不感領域の無い LEED パターンの取得は,本研究によるものが世界初である。 また,LEPD ホログラフィ法の計算プログラムを開発し,既に得られた LEPD パターンのデータを用いた解析についての検証を行なって同手法が有効な表面とそうでないものがあることがわかった。さらに、表面パターソン関数を用いた逆変換のための計算プログラムも開発し,試験的に取得した実験データによる同手法の検証を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた3層式(六角型)遅延線アノード検出器の LEED/LEPD 検出器への組込みと,その動作試験が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい陽電子ビームの光学系(静電レンズ群)の開発と,その新光学系の HEX-LEED/LEPD 装置への組込み及び低速陽電子ビームの輸送試験を行なう。さらに,それを用いた LEPD 観測に挑戦する。
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Research Products
(11 results)