2019 Fiscal Year Annual Research Report
センシングで「場」の状況を可視化し人の繋がりを活性化するワークプレイスデザイン
Project/Area Number |
18H03484
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
仲 隆介 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (10198020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川北 眞史 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (20346117)
松本 裕司 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (60379071)
三村 充 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 助教 (70379072)
小山 恵美 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (80346121)
前 稔文 大分工業高等専門学校, 都市・環境工学科, 准教授 (90318171)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ワークプレイス / センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、<センシングワークプレイス>の実現に向けて、以下に示すように多様な角度から研究を進めた。 ・初年度から進めている<センシングワークプレイス>の実践研究として、位置情報から得た情報をオフィスの照明計画に反映しオフィス環境を最適化する試みを行っている。この研究を更に進め、オフィス照明のゾーニング運用システムを構築し、位置情報を基にその効果の測定を試みた。具体的には、以下である。 目的別に空間分割されたオフィスに対して,それぞれの空間の目的に適する照明運用条件を設定・運用する「照明ゾーニング」手法の提案を行った。アンケート調査による執務者の心理状態と,センサーによる測位や行動観察から執務者の行動を評価し、満足度の向上、意識の変化、行動の変化などが確認され、照明ゾーニングが執務者の働き方やその意識に与える影響を確認できた。 ・初年度の研究結果にこれまでの知見に加えて、ワーカーの位置情報の解析の視点としてワーカー間の「距離」に着目して研究を進めた。令和元年度は、距離特性の異なる3つのチームの比較分析を行った。位置のセンシングで得た距離のデータ解析から、それぞれ、近接活動型、遠隔活動型、バランス活動型に分類され、チーム毎に、メンバーのネットワーク関係図の違い、ワークスタイル、コミュニケーション、意識の違い等が見られた。 ・センシングワークプレイスの基礎研究として、ワークプレイスとエンゲージメントの関係に関する研究、組織風土に関する研究、プログラミングの効果に関する研究、リフレッシュに関する研究、ワークスタイル改善に関する研究、本格的な生理信号計測の予備実験として、タスク中に掛けられる言葉と精神生理的影響評価の研究などをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、実際に実務が行われている企業の協力が得られ、おおむね順調に研究を進めることが出来ている。 協力企業のワークプレイス環境を照明特性(照度、色温度)によりゾーニングし、各ゾーン毎に取得した行動センシングデータとワーカーへのアンケート調査をもとにワークプレイス環境の評価を行い、その結果をもとに環境全体を最適化することを試みた。更に位置情報をセンシングし、その結果をワーカー間の距離に換算することで、様々な分析を試みた。具体的には、「距離」の変化のパターン、リズム等を分析し、その結果とワーカーの働き方、心理的な変化、満足度、成果等と比較分析することにより、最終的には、知的創造性や生産性の高い働き方を距離の関数として捉えることを試みた。その結果、チームの特性を距離で定義できること、すなわち、距離がチーム分類のパラメータになることを確認し、更に、各チームの距離特性とワーカーの行動や満足度との関係を分析し、一定の傾向を見せた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、距離に着目した研究をさらに進め、距離の変化のパターン、リズム等を明らかにし、その結果とオフィスワーカーの行動の関係を分析したい。新たな視点としては、ワーカーの精神的状況を知る中間指標として、笑顔に注目し、そのセンシングを試みたい。これらの様々なセンシングデータとワーカーの働き方、空間の好み、従業員エンゲージメント、心理的な変化、満足度、成果等と比較分析することにより、最終的には、知的創造性や生産性の高い働き方を距離の関数として捉えることを試みたい。 また、これまでも続けている多様な基礎研究にも取り組みたい。具体的には、産業心理学分野のエンゲージメントや、精神生理学の分野における生理信号計測などにより、知見を広げたい。また、こうした様々な角度からの各研究間に相乗効果を生み出すことで、研究全体を推進していきたい。
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