2019 Fiscal Year Annual Research Report
最先端映像メディア技術による地域記憶の世代間サーキュレーション
Project/Area Number |
18H03491
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
歳森 敦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (80222149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 智惠子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (40283030)
松林 麻実子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (10359581)
上保 秀夫 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00571184)
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (50261813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 記憶の継承 / オーラルヒストリー / デジタルアーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
市井の人々が日常生活の中で生成していく,居住地域に関する「地域記憶」の蓄積と世代間での伝達と循環を目的に,オーラルヒストリーのデジタルアーカイブシステムを開発している. 2019年度は,前年度に実施したパイロット調査によって得られた動画・録音を検討した結果をもとに,録画録音機材の一部を入れ替えるとともに,一人を対象にしたインタビュー形式から,複数名を対象にしたグループインタビューに変更することで,談話の内容の拡がりとVRとして視聴した際に自分がその座談に参加しているという臨場感がより得られやすい形式への改善を図り,高齢者を対象とする本調査を2020年2月までに実施した.また,前年度に引き続き,検索機能に係る基礎技術の開発を行い,その成果発表を行った. 2020年2月と3月に予定していた,北米の公共図書館におけるオーラルヒストリーのデジタルアーカイブ事業に関する事例調査と成果の国際会議発表は,新型コロナウィルス感染拡大に伴う研究者所属機関における海外渡航の禁止や国際会議自体の中止等により計画を繰り延べたが,2020年度に入っても新型コロナウィルス感染の終息が見られず,各種の制約が継続したため,北米におけるオーラルヒストリーのデジタルアーカイブ事業に関する事例調査については断念し,高齢者に代えて若者の持つ「地域記憶」の収録を図るパイロット調査を実施するとともに,RAを雇用して2019年度に記録した本調査で収録した素材のVR化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に本調査を実施したが,データ量をより拡充するための追加調査を実施したい.しかし,新型コロナウィルスの感染リスクを考えると,高齢者を対象としたグループインタビュー調査を実施できない状況が続いている. 若者を対象として地域記憶を語らせる試行を行ったが,地域に関する共通の体験や記憶の蓄積が少ない若者には,少人数の会話を成立させる上で共通の話題が必要なことが判った.データ拡充のための方策が必要であり,トピックの選択などによって,円滑にインタビューをするための工夫を検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
地域記憶を語る人として,地域での生活歴が長い高齢者を想定し,それらの人々による,特別な事が起こらない語りを,オーラルヒストリーとして簡便にデジタルアーカイブするとともに,地域の人々がその語りを体験的なコンテンツとして利用できる仕組みを構築することが本研究の変わらぬ目標である. ただ,現在の新型コロナウィルス流行の状況下では,これまでの試行で効果的であった少人数による会話の形式で高齢者の語りを収録する方法は,感染リスクを考えると継続が困難と考えざるを得ない.今後は若者による地域の日常に関する語りを収録するような形でのデータ収集に切り替えを検討する. 対象を若者に変更しても,日常の語りから,どのように特徴を抽出して,効率的な検索を行うかや,収録された映像をVRコンテンツとして利用することに関する評価実験は可能であり,当初の計画・狙いからずれてしまう部分が少なからずあるが,現在の情勢下で研究を進める上では最善の方策であると考えている.
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Research Products
(1 results)