2019 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive study of changes to the 'ideal' appearance of the book in early print culture
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18H03496
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安形 麻理 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70433729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 聡子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (60453536)
池田 真弓 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 准教授 (70725738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 初期印刷文化 / インキュナブラ / 聖書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、西洋の初期書物文化において人々が抱いていた「書物のあるべき姿」の変容を探ることを目的している。そのため、西洋書物文化の規範を高度に具現化した聖書を分析の対象とする。本年度は、課題①「初期印刷文化における聖書の形態的特徴の変遷」について初年度に引き続き取り組むとともに、課題②「聖書に対する同時代の印刷業者の認識と読者の期待の分析(コンテクスト)」を開始した。 課題①については、1500年までの出版物についてはIncunabula Short Title Catalogue、1501年から1545年についてはUniversal Short Title Catalogueという2種類の総合目録から、統一書名としてBibliaをもつものを抽出した。初年度に各種の書誌・書誌データベース等から収集した基礎情報をもとに、デジタルアーカイブや複写依頼により入手したデジタル画像を用いて分析した。その結果、1490年代後半以降は標題紙をもつものが主流となり、インキュナブラ全体と同じ傾向を示していること、一方では俗語聖書の方がラテン語のウルガータ聖書よりも標題紙の採用は早いものの普及は緩やかであること、俗語聖書は木版画を使用する割合が高いこと、木版画の使用方法には様々なパターンが見られることなどが明らかになった。この結果は日本図書館情報学会2019年度研究大会にて発表した。その後、デジタル画像が入手できず調査できなかった対象の一部について、海外で所蔵されている原資料調査を行った。 課題②については、標題紙や刊記の有無や、そこに記載されている文言の分析を行うために、書誌からの転記、デジタル画像や原資料からの転記を行い、データ入力を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行により、海外における原資料調査やデジタル画像の入手が不可能な時期があったものの、繰り越しを行ったことにより、調査を再開することができ、おおむね順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の書誌類からのデータ収集、デジタルアーカイブで公開されている画像の入手は一通り終了している。デジタル化されていない資料については、新型コロナウィルス流行にともなう行動制限の緩和を受け、原資料調査やデジタル画像の入手に努め、分析を進める。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 書物と知の組織化2020
Author(s)
安形麻理, 今野 真二, 高橋智, 木村麻衣子, 瀧本佳容子, 新藤 透, 大沼由布, 川村文重, 池谷のぞみ, 緑川信之
Total Pages
117
Publisher
慶應義塾大学文学部