2018 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis of a norm ecosystem toward development of moral AI
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18H03498
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
山本 仁志 立正大学, 経営学部, 教授 (70328574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥海 不二夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30377775)
岡田 勇 創価大学, 経営学部, 准教授 (60323888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協力の進化 / 社会的ジレンマ / ゲーム理論 / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は社会的ジレンマ状況における報酬と懲罰に対する人間の認知の歪みを検証するために被験者実験をおこない、他者のサンクション行動に対する信念の効果が協力行動に及ぼす影響を明らかにした。更にはプロスペクト理論的な認知の歪みを持つ個人を想定した数理モデルを用いて、1次の懲罰しか存在しない環境でも2次ジレンマが発生せずに協力が安定することを解析的に明らかにした。これらの成果を俯瞰し社会的ジレンマ環境における協力の進化に関するレビュー論文を2編出版した。特に規範エコシステムに関しては、規範ノックアウト手法・厳密な数理解析の手法の提案・被験者実験を用いた人の規範の分布と幅広い論文を統一的に紹介することができた。 また、AI規範に対して既存の様々な学問領域がどのような課題を認識しているのかを探るために広範なレビューを行った。情報工学のみならず社会心理学・法学・哲学を含む数多くの研究者との共同が実現しその成果は、人工知能学会誌の80ページを超える特集記事として結実した。 更に公共財ゲームにおいて互恵性が導入されたモデル、および限界効用逓減の法則を考慮したモデルを提案し、その特徴を分析することで、フリーライドへの誘因がある状況下での協調行動創発の条件を明らかにした。 これらの結果は10本の学術論文(うち6本が査読有国際学術誌)として刊行されている。更にゲーム理論に関する国際誌(Games)における特集号の企画1件を行い成果の幅広い公表ならびに国際的協働をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各サブ課題とも順調に進展している。互恵的協力のモデル化において人間の認知の歪みを扱うことができるモデルを構築し論文を発表している。更には被験者実験によって人が持つ実際の規範の分布も検討できた。これらの研究を社会的に広く認知させるためのレビュー論文も出版した。上記のことから課題は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度はシミュレーションにおいては規範ノックアウト手法の精緻化の結果を学術論文として出版する予定である。また互恵性規範の分布についても認知の歪み、他者の規範の推定などより複雑な実験状況の設定を行う予定である。実データ分析においても計算社会科学分野の国際会議で実データとシミュレーションの統合モデルを発表する予定である。
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