2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research toward implementation of vicarious system of sequence learning
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18H03505
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 観自 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20727086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 克巳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20373409)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 追体験 / 系列学習 / 行為主体感 / 自己主体感 / 運動主体感 / 反応促進 / 錯覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
体験者が技能の追体験を通じて,その技能を効率的に学習できる追体験システムの開発を最終的な目標とし,本研究ではその実現のために,偽運動主体感の生成メカニズムの解明(認知心理学的研究)をテーマに研究を進めている.本年度は,行為結果とその結果に対する注意捕捉の時間特性の検討を行った.先行研究によると(e.g., Kumar et al., 2015),自分の行動によって生じた知覚刺激(行動結果)は,行動とは独立に生じた外的刺激と比べて,より強く注意を引きつけることが明らかになっている.これは,行動後すぐに刺激が生じることで,それが行動結果として見なされることが原因であると考えられている.言い換えると,ある刺激が自身の行動結果として認識されるかどうかは行動と刺激の時間的な近接性に依存すると言える.このことから,本研究では行動結果に対する注意促進には行動後一定の時間窓があると予測し,空間的な手がかりを用いた注意課題を用いて検討を行った.実験の結果,行動結果への注意促進は行動後数秒間(3秒以上)は持続することが明らかになった.これは従来の感覚運動処理のモデルからは予測されない新たな知見であり,行動結果への注意がトップダウンな期待に基づくモニタリングを反映したものである可能性を示唆する.またこの時間窓は,通常の行動時に生じる運動主体感の時間窓と比べると極めて長いものであると言える.この研究成果は,国際学会で発表予定であり,また査読付き国際誌にも投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に投稿していた行為主体感に関する論文が,査読付き国際誌Acta Psychologicaに採択された.加えて,アクションと視覚的注意に関する研究成果や自己主体感が遡及的に変調することを示した研究成果を国際学会で発表するなど(Society for Neuroscience,The 23rd Meeting of the Association for the Scientific Study of Consciousness),本研究を支える知見を構築できている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を国際学会および国内学会で発表する.発表後に,研究成果をまとめたものを論文として査読付き国際誌に投稿する.自己主体感の生成メカニズム解明のための認知心理学実験を滞りなく進めていくことで,追体験の実装に向けた知見を蓄積していく.また新型コロナウイルス感染症防止対策の一環として,オンライン実験の実施を試みる.
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Research Products
(10 results)