2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research toward implementation of vicarious system of sequence learning
Project/Area Number |
18H03505
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 観自 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20727086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 克巳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20373409)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 追体験 / 系列学習 / 行為主体感 / 自己主体感 / 運動主体感 / 反応促進 / 錯覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
体験者が技能の追体験を通じて,その技能を効率的に学習できる追体験システムの開発を最終的な目標とし,本研究ではその実現のために,偽運動主体感の生成メカニズムの解明(認知心理学的研究)をテーマに研究を進めている.本年度は,まず行動に対する感覚フィードバックが,パフォーマンスに及ぼす影響について検討を行った.近年,ターゲット刺激に対する運動後,課題非関連な感覚フィードバック(e.g., キー押し直後の音提示)が即時的に生じることで,フィードバックが遅延を伴う場合より,パフォーマンスが向上(e.g., 反応時間が短縮)することが報告されている(e.g., Eitam et al., 2013).本研究では,この現象がどのような処理に基づいているのかを検討した.先行研究の再現をした上で,フィードバック遅延の有無,運動種類の違い(どの指でキーを押すか)など複数の操作を行ったところ,呈示される刺激ー行動ーフィードバックの関係性の学習が,パフォーマンス向上に寄与している可能性を示した.次の研究では,行動結果の予測が視覚的予測に基づく運動誘発性誤定位(motion-induced mislocalization)に与える影響を検討した.運動誘発性誤定位は,対象の運動軌道が突然変化することで生まれる予測と実際の位置のズレによって生じると考えられている.実験を通して,行動が反転時に挿入された刺激(実験1)と背景刺激の折り返し地点 (実験2)の誤定位を低減させることを示した.この結果は,行動に由来する予測が感覚情報による予測の失敗を補償し,突然の運動変化から空間知覚が歪められるのを防いだ可能性を示唆する.この研究成果は,2021年7月にThe 32nd International Congress of Psychology (ICP 2020+)で発表予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に,これまで積み重ねてきた研究成果が,Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance誌,Experimental Brain Research誌,Attention, Perception, & Psychophysics誌にそれぞれ掲載された(いずれも査読付き国際誌).またオンライン開催の学会でも成果を継続的に発表している.今年度は,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,オンラインによる心理実験を行ったものの,対面による心理学実験ができなかったため,その点についてやや遅れていると評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,The 32nd International Congress of Psychology (ICP 2020+)およびThe 2021 Vision Sciences Society meetingでの成果発表を予定している.加えて発表の内容を査読付き国際誌に投稿する.自己主体感の生成メカニズム解明のための認知心理学実験を実験室実験とオンライン実験(新型コロナウイルス感染症防止対策の一環)を併用しながら滞りなく進めていく.
|
Research Products
(6 results)