2020 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な世界における概要認知のメカニズム:発達と進化的基盤
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18H03506
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
伊村 知子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00552423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 述 新潟大学, 人文社会科学系, 研究教授 (50554367)
上田 祥行 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (80582494)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンサンブル知覚 / ワーキングメモリ / 表情 / 視線 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、複数の物体の特徴の概要を瞬時に把握することができる。このような機能はアンサンブル知覚と呼ばれる。物体の大きさや色などの低次の特徴から顔の表情のような高次の特徴などのアンサンブル知覚が可能であるという報告がある。本研究課題ではアンサンブル知覚の基盤となるメカニズムについて発達や進化の観点を含めて検討した。 まず、複数の物体の統計情報を知覚する際に、どれくらいの物体の数が統計情報の取得に使われるかについて検討した。その結果、この数は視覚性ワーキングメモリの容量と関係があることが示唆された。特に、ある特徴を持つ刺激が一ヶ所に集まっているとき、ワーキングメモリ容量が低い人は、高い人に比べて、その影響を受けやすい。このことは、ワーキングメモリの小さな幼児などは、大人に比べて、より一部分の情報の影響を受けて全体判断をしやすい傾向がある可能性を示唆する。 また、知覚された統計情報がどのように表象されているのかを、顔の表情を刺激として用いて検討した。同じ表情が続けて呈示されると表情の認識精度が低下するが、単に情動を喚起しただけではこの低下は生じない(表情への順応)。このことを利用して、複数の表情を先行刺激として呈示し、これらの統計情報が視覚イメージとして知覚されていることを示した。 顔の視線方向のアンサンブル知覚について、視線による空間的注意の移動を利用して検討した。その結果、集団の過半数の視線方向と一致する位置に提示されたターゲットはよりすばやく検出された。また、複数の顔の表情(喜び・嫌悪)と同時に提示された図形への選好を調べたところ、集団内の喜び表情の増加に伴い、図形に対する選好が増加した。このことから、視線や表情のアンサンブル知覚は対象への注意や選好に影響することが示された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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