2018 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトな分子間相互作用が造影メカニズムとなる微細血管用高分子MRIプローブ
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18H03527
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
馬原 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80416221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 哲二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50243126)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子造影剤 / MRI / 微細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ソフトな分子間相互作用によって数時間血中を循環しその後速やかに尿中排泄される微細血管造影用高分子MRIプローブを開発し、従来法では可視化できなかった 10 μmの脳微細血管のMRI造影法の構築と、脳卒中の高精度診断を目指して血管構造や側副血行路形成プロセスを単一個体で長期間評価できる基礎技術の創成に挑む。 初年度となる平成30年度では、研究計画に記述していた自己組織化構造体の詳細な解析と、種々の分岐構造をもつポリエチレングリコールを主鎖とする造成剤を合成した。自己組織化構造体の解析においては、分光学的な解析手法から、導入したフルオレセイン基のπ電子相互作用によって分子が規則的に組織化している可能性を突き止めた。さらにその自己組織構造は、イオン強度の増加によって安定化できることも明らかとした。さらに、動的光散乱のデータならびにフルオレセインのπ電子相互作用の結果を考え合わせると、自己組織化構造は繊維状の構造体が集まった形状である可能性が考えられた。このような結果は、今後の高精度血管イメージングを実現化する上で、重要な情報である。さらに、種々の分岐構造と分子鎖長をもつポリエチレングリコールを用いて、フルオレセインを導入した場合に起こる自己組織化構造の形成についても動的光散乱法によって解析した。その結果、分岐構造だけでなく分岐鎖長も自己組織化の形成に影響することが判明した。このような研究成果に基づいて、平成31年度では、引き続きラット脳血管の微細構造イメージングについて検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において予定していた(1)種々の末端修飾分岐型ポリエチレングリコールの合成、(2)DLS、X線解析による分子サイズ、分子凝集体の構造・安定性評価(3)正常ラットを用いた造影剤による脳微細血管イメージング、のいずれについても実験データを蓄積でき、(1)および(2)については新たな知見を得ることができた。このことから概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に基づいて、脳血管障害の自然発症モデルの微細血管診断、ならびに 中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルによる脳再灌流モデルでの狭窄・コラテラル形成と動態評価を中心に実施したと考えている。一方で、平成30年度においてすすめた研究の中で、自己組織化構造体の構造解析結果が極めてユニークな現象であるこが判明したため、構造についてさらに詳しく解析を進めることも視野にいれる。自己組織化構造の形成が本研究の1つの大きな柱となっていることから、この研究成果についてもある程度データを蓄勢する。本プロジェクトの成果になる一方で、さらに新規な研究テーマへの発展にもつながるものと考えている。
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Research Products
(5 results)