2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multi color deep imaging of cancer tissues and spatial distribution control of drug delivery
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18H03535
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩森 政頼 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (40446125)
麓 伸太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (70380988)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム(DDS) / 多色深部イメージング / リポソーム / がん / ターゲティング |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織内微小環境はヘテロであり、DDS組織内分布は差を生じやすい。本研究では、難治性がんにおける血管や間質などの組織構造とDDS空間分布との対応関係の解析を目的に、難治性がんの多色深部イメージング法の構築を行った。まず、標的指向型リポソームやナノバブルなどのDDSについて、標的臓器における血管とDDSの関連性について多色深部イメージング法を用いて評価したところ、リポソームの腫瘍内分布やナノバブルによる組織内遺伝子発現の空間分布を明らかにすることができた。そこで、がんの組織内微小環境としてDDSの腫瘍内における拡散に大きく影響しうるコラーゲンに着目し、膵がんの血管やリポソーム、コラーゲンなどを同時観察可能な多色深部イメージング法を確立した。本評価系を用いて従来の約100 nmリポソームの腫瘍内空間分布を評価したところ、リポソームが膵癌間質でトラップされている様子を三次元的に捉えることに成功した。DDS開発においては、標的指向型リポソーム調製を目的に、難治性がんであるグリオーマや膵がん、がん微小環境に存在するマクロファージを標的とする高機能・高品質(HFQ)脂質の開発を行った。これらのHFQ脂質で修飾したリポソームは、標的細胞に高効率かつ選択的に取り込まれることを明らかにした。さらに、高い再現性でリポソームの大量調製が可能なマイクロ流体デバイスを用いて、膵がん指向型リポソームの製造技術の構築を行った。本デバイスを用いた調製条件の最適化により、従来のリポソームと比較して極めて小さい約55 nmのリポソーム(膵がん指向型limit sizeリポソーム)の調製に成功した。異種異所性のヒト膵がん細胞移植モデルを用いて膵がん指向型limit sizeリポソームの腫瘍内分布を多色深部イメージングにより評価したところ、間質コラーゲンを突破して膵がん深部へ高効率に送達される可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
難治性がんである膵がんの間質コラーゲンや血管、リポソームの空間分布を同時かつ深部まで観察可能な多色深部イメージング法を構築できた。さらに、様々ながんおよび微小環境を標的とするHFQ脂質を開発し、マイクロ流体デバイスを用いて膵がん指向型limit sizeリポソームの調製にも成功した。異種異所性のヒト膵がん細胞移植モデルを用いた検討においては、limit sizeリポソームが膵がん深部まで到達可能であることを多色深部イメージングにより明らかにできた。これらの当初の計画の遂行に加えて、膵がん指向性を付与したlimit sizeリポソームは、膵がんに高効率に送達される可能性を示すことに成功した。以上、期待以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、当初計画に従い、間質除去法の開発とHFQ脂質含有DDSによる空間分布制御型DDSの開発を行い、モデルマウスにおける抗腫瘍効果との関連性に関しても検討を進める予定である。
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