2020 Fiscal Year Annual Research Report
深層学習を用いた舌骨上・下筋群の協調パターン解析に基づく嚥下機能評価技術の確立
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18H03557
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴本 勇 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (30458418)
玉田 泰嗣 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (50633145)
中山 淳 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70270212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嚥下機能 / 舌骨上筋群 / 舌骨下筋群 / 多点表面筋電図 / 深層学習 / 機械学習 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は,一回嚥下量や嚥下強度などの嚥下条件によってわずかに変化する嚥下パターンの違いを,舌骨上筋群と舌骨下筋群の44チャンネル筋電位信号から95%以上の精度で識別しうる手法を開発した.一般に嚥下機能が低下すると,食物に対する嚥下の対応力が低下するため,本手法を用いることで,嚥下機能低下を嚥下パターンの識別率という形でとらえることができる.一方,識別率を求めるためには,事前に複数試行の嚥下データを収集し,個人の嚥下パターンを人工知能に学習させるプロセスが必要となる.そこで,本年度は,学習プロセスを省略可能な方法として,異なる嚥下条件下で作成した嚥下パターン画像に対して,その類似度を直接計算することで,嚥下パターン変化量を数値化する手法を考案した.そして,若年者,高齢者各15名を対象に,一回嚥下量(3,15ml)や嚥下強度(自然嚥下,努力嚥下)の異なる嚥下パターン画像の類似度を比較したところ,統計学的な有意差が認められ,加齢による嚥下機能低下を検出できる可能性が示唆された.また,嚥下機能評価のもう一つのアプローチとして,筋シナジー解析も実施したところ,加齢に伴う嚥下機能低下の特徴が,舌運動による食塊の送り込みのシナジーではなく,嚥下反射における筋活動に対応したシナジーに表れる可能性が示唆された.嚥下において重要な舌機能評価においては,与えられた目標軌道をなぞるように舌尖位置を変化させた際の誤差面積を数値化しうる評価装置を試作し,高齢者群ほどその追従誤差が大きくなることを実験により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
舌骨上筋群と舌骨下筋群の協調運動に着目した嚥下パターン分類法を高度化し,より少ない嚥下データから,嚥下条件によってわずかに変化する嚥下パターンの違いや加齢変化の特徴を数値化する手法を考案した.また,研究発表だけでなく,4件の特許出願を済ませ,多角的な視点から嚥下機能を評価するための工学技術を開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
一回嚥下量や嚥下強度に加え,嚥下物の物性値や疲労状態などの嚥下条件の違いが,嚥下パターン変化に与える影響を評価する.また,舌機能の評価項目に,嚥下において重要な舌の感覚機能も加える.最終年度は,多角的な視点から嚥下機能を評価する手法について,研究成果を総括する.
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Research Products
(20 results)