2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of signal processing to help pattern perception in speech for people with sensorineural hearing loss
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18H03560
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下倉 良太 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90455428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 忠己 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60364072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 補聴器 / 感音性難聴 / 明瞭度 / 自己相関関数 / 信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、既存補聴器に自己相関解析という信号処理技術を新たに導入し、補聴後の感音性難聴者の語音明瞭度を健聴者に近いレベルまで改善させることである。従来の補聴用信号処理は、音声帯域の強調やフォルマント周波数の明確化など、周波数帯域での計算アルゴリズムが一般的であり、言葉の聞き取りを部分的に回復させるにとどまっていた。本研究が提案する自己相関解析は、周期性を検出する時間領域アルゴリズムで、これまでの不足部分を補うことが大いに期待できるものである。今回本申請では、この自己相関解析と異聴傾向から感音性難聴メカニズムを解明し、周期性を安定化させるジッター補正というDSPを加えて、感音性難聴者の明瞭度改善を目指す。本研究成果は、内耳に電極を埋め込む人工内耳以外の新たな選択肢を提案し、患者の身体的・精神的負担を大きく軽減することができる。 これまでの研究では、「単音節の自己相関解析から計算される有効継続時間の中央値が短いほど、その単音節は聞きとりづらい」というマクロなモデルにとどまっている。よって初年度はまず、聞き間違いが生じるタイミングの特定を目標とし、各単音節の騒音暴露レベルを解析した。騒音暴露レベルとは音圧の時間積分値である。その結果、騒音暴露レベルが急峻に上昇する単音節ほど、感音性難聴者には聞きとりやすいという事実が明らかとなった。つまり、音の出だしがある閾値に速やかに到達する単音節ほど聞きとりやすい、ということである。よって本年度は、単音節の音圧の立ち上がりを信号処理で加工し、明瞭度の差にどのように影響するのか、より詳細な検証を行う。また自己相関解析から得られる有効継続時間との対応関係についても調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで我々が示すことが出来た、単音節の明瞭度(心理)と自己相関解析(物理)との対応は子音間という条件があったが、今回の騒音暴露レベル(物理)との対応は、VOT>0という条件はあるものの、前単音節に対して当てはまる、大変汎用性が高いものである。この新しい説明変数の発見は、今後の研究に新しい可能性をもたらすものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】で説明したように、VOT<0という条件下では、単音節の明瞭度(心理)と騒音暴露レベル(物理)との関係が見いだせていない。今年度はこの問題に取り組み、より汎用性の高い説明変数を見いだす。またこれまでの自己相関解析、騒音暴露レベルを含めた、統合的な評価指標について提案する。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Cartilage conduction hearing2018
Author(s)
T. Nishimura, H. Hosoi, O. Saito, R. Shimokura, S. Akasaka, T. Yamanaka, T. Kitahara
Organizer
Midwinter Research Meeting of Association for Research in Otolaryngology
Int'l Joint Research
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