2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the central area of Xiongnu Nomadic state in the Kherlen river basin
Project/Area Number |
18H03589
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
臼杵 勲 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80211770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木山 克彦 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (20507248)
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遊牧国家 / 匈奴 / 生産 / 窯業 / 物理探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、ホスティン・ボラク遺跡群の内容確認を目的に、KBS3遺跡の窯址の発掘調査を継続し、さらに周辺で物理探査による確認調査を実施した。 KBS3遺跡では、複数確認した窯址煙道部分の精査を進め、これまで想定した複数の煙道を持つ窯ではなく、小型の窯が連続して構築・操業されていることが明らかとなった。そのため、上層の3号窯を全掘し、窯の規模・形状を明らかにした。焼成部が三角形、燃焼部が方形に近く、焼成部中央に排煙溝を設け、焚口に石積を行う形状で、全長3.1m、幅1.5mの小型の窯である。下層のK1②号窯の廃絶後内部に砂質土を充てんし、そこにK3号窯を構築していることも確認できた。K1②号窯の残存状況、窯を設けた土坑全体の規模や堆積状況からみて、さらに別に複数の窯が存在すると想定された。そこで次年度以降、土坑全体を完掘し、操業実態を解明することとした。窯の形態の変遷は、大まかには中国の戦国時代から漢代の窯の変遷と対応し、内蒙古地域の窯との共通性も明確に確認でき、年代測定による各窯の時期の確定を進めている。 また、2019年度は、窯址群全体の規模を確定するため、磁気探査とGPR(地下レーダー)による探査を、KBS3西部と東部、KBS4東部の3地区で実施した。KBS3北東部では、磁気探査とレーダー探査の異常地点が重なる部分を確認し、KBS3西部でも段丘斜面上に異常地点を確認した。KBS4北東部では、これまでの探査地域を含める形で、より広く磁気・GPR探査を実施し、これまでの異常地点に加え数か所で異常地点を確認した。今後試掘を行う予定である。なお整理作業は現地で調査と同時に一部を実施した。 比較研究のための中国での資料調査、モンゴルでの人骨調査を実施予定であったがコロナ感染のため中止とした。そのため、次年度以降の作業の迅速化のため、記録用3Dスキャナによる、記録法の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KBS3遺跡の遺構の精査により、窯址の形状がこれまでの想定と異なること、また複数の窯址が重なり合って、連続して構築されていることが明らかとなり、この地域の匈奴の窯業生産の実態が、より詳細に確認できた。ただし、これまでの知見とは異なる部分や、新情報の追加があり、より徹底した詳細調査が必要であることも確認された。また、周辺土城出土資料との比較研究も進み、本窯址からの供給例も確認できた。以上より、窯業生産研究については、順調に進展していると判断している。 物理探査では、より広い範囲での調査により、周辺での新たな異常地点を多数確認した。遺跡の広がりや構造に迫ることができる情報を蓄積できた。ただし、試掘を行う余裕がなかったため、次年度以降に試掘による確認も進める必要がある。また、地表に瓦片が分布する、東西3km、南北1kmの範囲において、さらに別地区の探査も計画的に進める必要がある。全体的には、おおむね順調に探査を進めることができた。 しかし、コロナ流行の影響から人骨調査、比較のための資料調査が実現できなかったため、これまでの情報の見直し、文献等による情報収集にとどまった点は十分な進展をえることができなかった。以上の点については、可能になった段階で集中的に進める予定である。また、出土資料等の記録化も例を大幅に増大化させることができ、さらに多数の調査可能資料も確認できたため、今後食性、病理、遺伝等の多くの情報が継続的に取得できることが確実になった。これまで、所蔵期間の事情により調査の進行が遅れていたが、その問題はほぼ解消できたと考えている。 分析試料については、年代測定、窯の焼成に関わる資料については順調に資料を蓄積しており、今後も計画的に試料採取を図っていく予定である。 研究成果について、調査・瓦生産に関して、学会発表、論文の形での公表を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
窯址発掘中のKBS3遺跡では、関連する遺構の全掘を行い、操業実態の解明を進める。そのため、使用回数、形状の変化、時期的な変遷などを、灰原層位、切り合い関係、年代測定などに留意しながら進める。このため、必要な発掘期間・人員についても十分に検討する。KBS2・KBS3 ・KBS4遺跡周辺の既探査地区については、特に強い異常が認められた地点を選択し、試掘を行い、内容確認と異常反応の類型化を進める。またその中から発掘対象遺構についても検討を行う。さらに、これまでの踏査経過を参考に、段丘の北部などの未調査地域についても物理探査・踏査と試掘を行い、匈奴時代の遺跡の分布状況を明らかにする。一方、周辺土城出土資料との窯址群の資料の比較検討をさらに進め、土器・瓦・セン等の供給状況を明らかにする。年代測定、窯の焼成、生活残滓については引き続き分析用の試料採取と分析・同定を進め、考古資料と併せて、生産実態解明の検討材料とする。特に周辺土城周辺に、別の生産地が存在する可能性が高く、各土城の周辺においても踏査・探査を実施し、生産遺跡の有無を明らかにする。 また、この数年でオルホン川流域、ケルレン川下流域などで、匈奴時代の城址遺跡の調査が進み、瓦・土器等の比較資料が増えたことから、他地域の資料についても調査や情報収集を進め、必要な場合は、周辺地域(モンゴル中西部・中国北部・南シベリア等)も含め、遺跡踏査・資料調査を実施し、分析を進める。 土器・瓦・センの型式学的検討や中国出土資料との比較検討を進め、年代・製作の特徴を明らかにする。 成果公開については、学会発表・論文等の形で順次公開を図り、中間期、最終年度については、内外の関連研究者による国際会議・セッションを開催し、研究のとりまとめを行う。
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Research Products
(3 results)