2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H03627
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
栗崎 周平 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 貴之 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50467057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビッグデータ / サプライチェーン / SNSによる人の移動データ / 株式保有データ / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、国際関係論×ビッグデータの一連の共同研究を開始するにあたり、共同研究者である水野氏とプロジェクトを始動するにあたり各プロジェクトについてブレインストーミング、問いの精査、必要となるデータの確認、分析工程の見通しなどを数ヶ月かけて行った。その中で人の移動プロジェクトでは、Twitter社から取得したパリでツイートされた位置情報とその内容に関する2014年4月から2年分のデータを分析し、アラビア語と他言語によるツイートとが日中においては空間的に乖離し、経時的に拡大していることを発見した。これを受けて夜間における空間的相関を測定し、更に同様のデータをNYCなど他の都市について収集し民族的隔離の実態分析する作業に入った。次にサプライチェーンプロジェクトでは、共同研究者水野が既に構築した世界の全上場企業50万社間のグローバルな取引ネットワークデータに、情報企業DowJonesが作成した「銀行が海外送金先の与信調査に使う武装勢力への加担が疑われる12万社のリスト」を結合して、武装勢力のフロント企業と先進国の企業とを繋ぐネットワーク経路を検出し、ついで金融情報企業FactSetが提供する「11万社の製品別の売上データ」を結合し、更にウプサラ大学における紛争データプロジェクト(UCDP) が提供する内戦や戦争に関するデータと結合することで一般市民が購入する製品(例えばiMac)の売上が、製造企業や、複数の仕入れ先を経由して武装勢力のフロント企業に流れ込む金額を推定し、戦死者の発生にどの程度寄与しているのか一般化線形モデルを用いて計測する段取りに入った。3つ目の資本関係プロジェクトでは、調査会社Burea Van Dijkの世界3億社の株式保有リストを用いてグローバルな出資関係ネットワークを構築し、資本を通した企業の間接的支配関係から、各企業の動的に変わる最終的な親会社を検出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
水野氏との共同研究は成果報告で述べたとおり順調に進んでいるが、渡辺耕平氏と進める予定であった米中露「脅威認識」を冷戦終結以降に測定していくというプロジェクトは、渡辺氏の所属先の変更やそれに伴う国際転居などにより、プロジェクトの始動そのものが7月以降にずれ込んだ。また、RAとして採用予定だった政治学 のバックグラウンドを持つ研究協力者が、急きょ、来年度(2019年度)4月まで研究に参画できないことが判明した。本研究遂行上、米中露3か国間の冷戦以後の脅威認識の相互作用とその歴史的展開 を、機械学習を用いた政治文書の自然言語処理 を通じて解析する能力をもつ当該協力者の参画 が必要不可欠であるため、10か月の遅延が生 じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は渡辺氏との推進予定であった米中露の「脅威認識」の測定を、その本来の目的である国家関係の歴史的変遷をダイナミックデータで測定するための(ビッグ)データを構築するという趣旨に立ち返り、若干の研究成果をだすベクトルを変更し、国家間の関係の制度的なバックボーンを形成する外交使節の交換の歴史的なデータの作成とその分析に家事をきることで、具体的な成果を着実に出していく方針を採用する。
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Research Products
(10 results)