2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H03627
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
栗崎 周平 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 貴之 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50467057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 株保有ネットワーク / 間接支配 / 企業乗っ取り / 世界経済の支配構造 / 世界政治の力構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際政治学がこれまで重大な関心を寄せてきた問題に関しビッグデータの活用がどのような新しい問いを立てることが出来るのか、従来の問いに新たな回答を寄せることが出来るのか、そしてどのような新たな知の地平を切り開くことが出来るのかについて、特にグローバル化と言われる現象について政治学とデータ科学の専門家を糾合して解明することを目的としてきた。グローバル化は人・モノ・カネの移動がこれまでにないレベル深化しているが、2019年度はカネに着目した研究を先行させ、調査会社BvDが提供するOrbisデータを利用して約5億社ほどの世界中の企業の株式保有ネットワークの構造を可視化した。これを用いて株式投資を通した企業の支配構造のグローバル・ネットワークを作成し、その中で意思決定を直接的あるいはネットワークを通した間接的なコントロールを同定し、測定するためのモデル(Network Power Index)と計算アルゴリズム(Label Propagation)を開発した.今年度から着任したポスドクがこれらの成果を出す上で重要な役割を果たした。 これを用いて株式投資を通した企業の支配構造のグローバル・ネットワークを作成し、その中で意思決定を直接的あるいはネットワークを通した間接的なコントロールを同定し、測定するためのモデル(Network Power Index)と計算アルゴリズム(Label Propagation)を開発した。これらは世界規模の株式投資を通じた企業コントロールに関する従来のモデルは昨今の資本市場における投資行動、特にETSやインデックス投資などパッシブ投資の比重が高まっている現状を適切に捉えていない現状を克服する試みである。 また株保有を通した世界経済の支配構造が国際政治のマクロレベルでの力関係に与える影響についてShifting Hegemonyとでもいえる現象を同定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
株式保有データを作成しているネットワークの分析にあたり、Network Power Indexという理論モデルを提示することで、当該研究分野の大幅な全身が見込まれる。このモデルを実装し、データでその値を推計するアルゴリズムも開発し、特許申請した。これを用いた株式ネットワーク分析は、いくつかの国内外の学会で発表し、国内では最優秀賞を受賞したり、海外の複雑系科学の学会では、ネットワーク分析にかかるProceedingに選定され、さらにPLOS ONE誌上での特集号への寄稿を招待され、昨年度松にはR&Rを得るまでに進んでいる。この理論モデルとアルゴリズムを用いて、より政治学に関心がある応用分析を進めるべく、Shifting Hegemonyプロジェクトを推進すると同時に、武器製造会社などへの資金流入の源流を可視化するなどのプロジェクトに繋げることが出来るようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
Network Power Indexを提示する論文をPLOS ONEで採択されることを目指し、上記で述べた、Shifting Hegemony、伝統的安全保障(武器製造問題、核兵器製造)や人間の安全保障(子供兵の問題)への資本流入のあり方を可視化し、社会的投資責任(SRI)やSDGsの観点から問題提起ができるような実証のベースを確実なものにしていく。
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Research Products
(21 results)