2020 Fiscal Year Annual Research Report
Globalization and Labor Market in Japan and East Asia
Project/Area Number |
18H03637
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90265918)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 耕造 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 教授 (10306863)
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 准教授 (20456304)
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 経済のグローバル化 / 国内労働市場 / 日本 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは,経済のグローバル化が日本と東アジア諸国の労働市場にどのような影響を及ぼしているのか,(1)国または国内地域間での影響の違い,(2)労働者の職種や技能による影響の違い,(3)産業や企業による影響の違いの3つの視点から分析を進めている.3年目にあたる令和2年度の主な研究実績は以下のようにまとめられる. まず,東アジア諸国における経済のグローバル化に関して,Kimura (2021)は,東アジア経済の特徴である国際的生産ネットワークに焦点を当て,新型コロナウイルス感染症拡大や米中貿易摩擦の影響を考察している.また,Tanaka (2021)は,EUの輸入規制緩和が,カンボジアの衣類輸出の増加につながったことを明らかにした.Saito (2021)は,発展途上国の企業が輸出向けの財の品質を高める上で,多国籍企業からのスピルオーバーが有効であることをインドネシアの企業データをもとに実証している. 次に,経済のグローバル化が労働市場に与える影響に関して,Forslid and Okubo (2021)は,貿易自由化と地域間労働移動の関係について,労働者の生産性を考慮した分析を行い,経済規模が大きい地域には,技能が低い労働者も移動してくることを理論的に示した.実証面では,Kiyota, Matsuura, and Higuchi (2020)が,企業の輸出行動と雇用成長率の関係について日本企業を対象に分析を行い,製造業と卸小売業では企業の国際化が雇用に与える影響が異なることを明らかにした.また,輸入増加が日本国内の雇用に与える影響に関して,Hayakawa, Ito, and Urata (2021)は,中国とそれ以外の地域貿易協定締結国からの輸入ではその影響が大きく異なることを実証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は3年目に入り,多くの研究成果が生み出されている.新型コロナウイルス感染症の拡大により,国際学会での報告は困難であったが,論文の多くは海外の有力な査読付き学術誌に掲載されている.また,いくつかの研究成果は国際機関である東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)や日本の経済産業研究所(RIETI)のディスカッションペーパーとして発表されるなど,日本や東アジア諸国に向けた政策提言も順調に進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト最終年度となる令和3年度は,これまでの研究成果を学会などでの発表を通じて広く世界に発信する.具体的には,オンラインで開催される各種学会への参加や,主催する定例研究会(慶應国際経済学セミナー,Asian Economic Panelなど)での報告を予定している.研究報告へのコメントをもとに分析の精緻化を図り,ディスカッションペーパーの学術誌への投稿作業を進める.また,令和元年度の実績報告書で新たに課題として挙げた,新型コロナウイルス感染症拡大の生産ネットワーク及び雇用への影響についても,引き続き分析を続け,論文としてまとめる.
|
Research Products
(27 results)