2021 Fiscal Year Annual Research Report
事前の防災対策と事後の救済・復興事業に関する時間整合性条件の検証
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18H03639
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中川 雅之 日本大学, 経済学部, 教授 (70324853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 昌平 日本大学, 経済学部, 助教 (10875686)
瀬下 博之 専修大学, 商学部, 教授 (20265937)
日引 聡 東北大学, 経済学研究科, 教授 (30218739)
原野 啓 明海大学, 不動産学部, 准教授 (30848495)
浅田 義久 日本大学, 経済学部, 教授 (70299874)
有村 俊秀 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70327865)
宅間 文夫 熊本学園大学, 経済学部, 准教授 (80337493)
行武 憲史 日本大学, 経済学部, 准教授 (80804690)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間非整合性 / 自己保険 / 居住地選択 / 建物構造の選択 / 時間割引率 / 危険回避度 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の第一の目的は、事前の都市防災対策と事後的な災害復旧・地域復興制度の現状を理論的に整理した上で、それらが動学的な観点から整合的かどうかについて検証することである。この点については、時間非整合性ユニットにおいて主に取り組まれているが、これまでにSeshimo and Yamazaki(2017)において理論的な整理を行い、それに行動経済学的な視点を加えた山崎・中川(2020)において、人間の認知的な特性が時間非整合的な防災対策を選択しやすいことを指摘している。このような時間非整合的な行動は、人々の居住地選択、建物構造の選択など普遍的に生じるが、特に先行研究が指摘するように、政治的なプロセスで選択される政策選択において生じやすい。 これらの点については、2022年に賃貸住宅の家主(東京)向けに行った大規模アンケートで(2021年度の補助金で東京以外の家主を対象としたものを実施)、賃貸住宅の立地選択、建物構造の選択と家主の時間割引率や危険回避度に関する特性を把握したデータを得た。具体的には、このアンケートでは、賃貸住宅の立地場所の災害危険度、賃貸住宅が家主自らが取得したのか、相続で取得されたものなのか、家主の認知特性等を把握することができるものとなっている。居住地選択と建物構造の選択は代替的にそれが行われる可能性が高いが、危険回避的な家主は居住地選択においても、建物構造の選択においても防災対策に気を配った行動を行う可能性が高い。しかし、相続はいわばランダムに賃貸住宅をアサインした自然実験環境をそなえたものとしてとらえることができよう。このように今後、家主の防災対策に関する実証分析が今後行われる基礎を整えることができた。また、市区町村の首長の認知特性に関するデータを用いて当該市町村の事前の災害対策に関する取り組み姿勢に関する分析が行われる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害対策に関する時間非整合性に関する理論研究は、概ね予定されていた成果があがっている。当初の予定では米国に出張し、FEMAなどの保険と連動した災害対策に関するヒアリングを行い、政策的な含意を得ることを予定していた。しかしパンデミックによって、海外出張を行うことができなくなったため、研究方法の変更を行った。具体的には、諸外国の災害対策に関する情報は文献調査等に基づいて収集することとし、国内データを活用した実証分析に力を注ぐこととした。その方針に基づき、家主に関する大規模アンケート調査を2022年に実施することができたほか、市区町村の首長の認知特性や当該市町村の重点政策に関するデータへのアクセスもめどがついている。以上を勘案すれば、研究は全体として概ね順調に進展していると評価することができよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施した東京以外の家主に関するアンケート調査を基にした実証分析を進める。具体的には、このアンケートでは、賃貸住宅の立地場所の災害危険度、賃貸住宅が家主自らが取得したのか、相続で取得されたものなのか、家主の認知特性等を把握することができるものとなっている。居住地選択と建物構造の選択は代替的にそれが行われる可能性が高いが、危険回避的な家主は居住地選択においても、建物構造の選択においても防災対策に気を配った行動を行う可能性が高い。しかし、相続はいわばランダムに賃貸住宅をアサインした自然実験環境をそなえたものとしてとらえることができよう。このため、建物選択などの賃貸住宅における防災対策がどのようなメカニズムに基づいて実施されるのかに関する実証分析を行う。また、防災対策に関する分析についても研究のまとめを行い、成果を社会に公開する。
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Research Products
(14 results)