2019 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative approach for the Asian Barometer Wave 5 survey containing comparative experiments on political culture
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18H03664
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
池田 謙一 同志社大学, 社会学部, 教授 (30151286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 雪 関西大学, 社会学部, 教授 (00267379)
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30347257)
柴内 康文 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (60319457)
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30457816)
遠藤 晶久 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80597815)
小林 哲郎 神戸大学, 法学研究科, 研究員 (60455194)
Jou Willy 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20617055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アジアンバロメータ / 政治学実験 / 政治文化 / 民主化 / CAPI調査 / 東アジア / 東南アジア / 国際比較調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアンバロメータ調査(ABS)第5波(東アジア・東南アジア17カ国) の国際比較調査の日本調査を実施した。第5波はタブレット方式のCAPI(Computer Assisted Personal Interview)調査・実験として実施するため、2018年度末に、CAPI調査のパイロット調査を実施し、この調査方法のフィールドでの問題点、調査票設計上の問題点を洗い出した。2019年度は、その問題点の修正の検討を7月まで行った。CAPI画面は国際標準化されねばならず、その日本語の実装に多大の時間を費やした。 参院選直後に全国調査を実施するため、全国100地点からのサンプリングを行い、調査設定数3000サンプルとして調査を実施した。対象者は男女20~79歳の日本人である。 調査の実査は、調査員に対する説明会とトレーニングを実施することで開始されたが、盛夏と度重なる災害によってインタビュー自体の実施が難しい日程が多く、またCAPIを対象者が回避したがることが判明し、難渋を極めた。回収数は当初880であり、拒否率は70.1%に上った。やむなく調査地点での回収数に応じて追加のクォータサンプリングを実施し165回収を追加し、最終的に1045の回答を得た。追加分の回答分布は当初予定の回答とずれは小さく、回答に問題がないと判断した。データの質は良好であった。 年度の後半は、回収データの整備と国際化に充てられた。サンプルウェイトの付与、国際職業コードの作成、政治学実験の成否のチェック、英語での調査レポートと国際比較用ファイルの作成、他国データとの接合などを進め、予定していた分析も進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、アジアンバロメータ調査5波の日本調査データが取得され、データの整備は予定通り進められた。 ただし、概要に記載の通り、調査の実施時期を参院選後かつ消費税増税前と設定したため、真夏の調査となり、重量のあるCAPI調査のセットを調査員が持ち歩くことが難行となってしまい、回収数を予定通り獲得するために、多大の努力と調整を要した。今後の反省点としたい。ただし、データの質はよく、アジアンバロメータ調査第5回目のデータであったので、2003-2019年にわたる日本人の価値観、政治行動、政治意識、対外意識の長期データの取得に成功しており、希有のデータとなることに間違いない。国際比較、国内の時系列比較にともに大いに貢献したいところである。 CAPIによる調査にはデータの入力の手間の省略や情報共有の利点はあるものの、調査対象者の忌避の問題など、これまで未知の問対が存在することが判明した。この点は、今後さらに研究を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクト最終年の作業は、アジアンバロメータ調査日本調査のデータ整備を継続し、さらに英語版を作成した上で、アジアンバロメータ調査全体の統合バージョンの作成が途上であったものを、各国の協調のもとにさらに遂行することである。 これを行った上で、調査の中で行った政治学実験をも含めて、全体の分析を各研究分担者と研究代表者が行い、複数の内外の学会、アジアンバロメータ調査プロジェクトの全体会合で発表を重ねていく予定である。しかしながらコロナウィルスの世界的拡大と日本国内の緊急事態宣言等を背景に、4月末の時点において、当初予定していた国内学会、国際学会、アジアンバロメータ調査全体の研究大会の全てが延期または中止となっている。現在、アジアンバロメータ調査全体のオンラインの論文集と、日本語の著書の出版が企画されているが、年度内にこれらを遂行するために努力を重ねる。 コロナ問題もにらみながら、年度全体の計画を弾力的に実施していく。
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