2018 Fiscal Year Annual Research Report
Search for hyper-deformed nuclei
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18H03703
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青井 考 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (00311647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハイパー変形 / ガンマ線トラッキング検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不安定核ビームによる融合反応により40Ca近傍核の高スピン状態を作り極超変形核を探索することが目的である。 本年度は、極超変形状態からの微弱なガンマ線を検出することを念頭に置いたガンマ線トラッキング技術の開発を開始した。極超変形核測定の難しさの一つは断面積の小ささにある。生成量が絶対的に少ないということだけではなく、それと比較して巨大な断面積をもつ他のチャンネルに起因するガンマ線が膨大なバックグラウンドとなり、そのなかから見つけ出さなければならない。ガンマ線トラッキング技術によって、ガンマ線のエネルギーが検出器内で全て電子に付与された事象を選択することで、ピーク/コンプトン比の向上と検出効率の向上を同時に実現させることができ、これまでにないガンマ線測定の感度向上が望める。 第一に、これまでに開発が完了している電極分離型ゲルマニウム検出器からの信号読み出し系の整備を行った。100MHzサンプリング14bitのディジタイザ(Flush ADC)を用いて電極からの信号160チャンネル(1結晶につき40チャンネル×4結晶)の信号波形を読み出すデータ収集系を構築した。さらに、読み出した信号波形をもとにガンマ線の結晶内における相互作用位置を導出するプログラムを導入した。 こうして完成したガンマ線相互作用位置検出系の総合的な性能を評価するため、NewSUBARU施設において、位置決定精度評価実験を行った。それにより、目標である1mmの位置分解能が達成できていることを確認した。 開発したガンマ線トラッキング検出器を用いた初めての物理実験として、40Caの通常変形に対応する変形状態を同じ中性子数20の原子核である36Sに存在するかどうかを探索する実験を大阪大学核物理研究センターサイクロトロン施設で行った。結果は現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はガンマ線トラッキング技術の開発を行うことを目標として設定し、その目標はほぼ達成できた。 平成30年度に達成した進展の中心部分はこれまでに開発が完了している電極分離型ゲルマニウム検出器からの信号読み出し系の整備である。100MHzサンプリング14bitのディジタイザ(Flush ADC)を用いて電極からの信号160チャンネル(1結晶につき40チャンネル×4結晶)の信号波形を読み出すデータ収集系を構築した。さらに、読み出した信号波形をもとにガンマ線の結晶内における相互作用位置を導出するプログラムを導入した。これによりガンマ線トラッキング技術の最重要部である、検出器内でのガンマ線相互作用位置を決定する部分までが完成したことになる。 その他、ガンマ線相互作用位置検出系の総合的な性能を評価するため、NewSUBARU施設において、位置決定精度評価実験および、40Caの通常変形に対応する変形状態を36Sにおいて探索する実験を行ったが、これは当初の計画を超える進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
ガンマ線トラッキング技術を完成させるためには、導出したガンマ線相互作用位置の一組からコンプトン散乱と光電吸収からなるガンマ線の反応連鎖をトラックすることである。本年度はこの技術の開発を行う。平行して本課題の目的である40Caの極超変形の端緒が現れる可能性のある高スピン状態を生成する実験の具体的な検討を行う。
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