2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for hyper-deformed nuclei
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18H03703
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青井 考 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (00311647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核構造 / ガンマ線核分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、40Ca近傍核の極超変形核を探索することが目的である。本年度は、実験装置の構築を行った。これまでに開発したガンマ線トラッキング検出器及びデータ収集系を拡張し、他の研究施設からの各種ゲルマニウム検出器と組み合わせ、HiCARIアレイを構築し、理化学研究所RIビームファクトリーで運用した。検出器は本課題で開発したトラッキング型ゲルマニウム検出器1台に加え、検出効率を構造させるため、米国ローレンスバークレイ国立研究所のトラッキング型ゲルマニウム検出器1台、独国ケルン大学のMiniBall検出器6台、中国近代物理学研究所のクローバー検出器4台からなる。データ収集系は我々が導入したものを基本としたが波形を取る必要があるトラッキング型と、通常型のハイブリッドに対応するように拡張した。ガンマ線検出器のデータはタイムスタンプと共に記録し、同じタイムスタンプを持つビームライン検出器のデータと事後に結合する方法をとった。また、もう一つの目標である、導出したガンマ線相互作用位置の一組からコンプトン散乱と光電吸収からなるガンマ線の反応連鎖をトラックする技術の開発を行った。本実験は次年度を予定しているが、本年度は、この検出器システムを利用して質量数80から136に至る中性子過剰不安定核の核構造研究を実施し、加速器のビームライン検出器と組み合わせて、総合的な動作を確認した。実際にインビームの環境でのエネルギー及び位置の測定できることを確認した。これにより、本実験を実施する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はガンマ線トラッキング検出器を他の実験装置と組み合わせ、RIビームファクトリーでの実験を行う体制を整えることを目標として設定し、その目標は達成できた。本実験では、ドップラー効果によるエネルギーシフトするためその補正がエネルギー分解能を決める。補正にはガンマ線の検出位置から放出方向を決める必要があるが、通常型では結晶の大きさ(数cm)でしか決められないのに対して、トラッキング型検出器では1.5mm 程度の分解能で決めることができる。特に、立体角を稼ぐことのできるビームから90度方向は、ドップラーシフトの角度依存性が最も強く、従って、高いエネルギー分解能を得るためには高い位置分解能が必要である。HiCARIアレイでは、90度付近をトラッキング型検出器で受け持ち、角度分解能が必要のない前方を通常型検出器で覆うことで、全体として分解能と検出効率を最適化したアレイとした。また、もう一つの目標である、導出したガンマ線相互作用位置の一組からコンプトン散乱と光電吸収からなるガンマ線の反応連鎖をトラックする技術の開発を開始し、これについては来年度も継続する予定である。 新型コロナ感染症蔓延のため、加速器施設が一時実験を停止したことと、海外からの研究者の来日が出来なくなったこととで研究は遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、導出したガンマ線相互作用位置の一組からコンプトン散乱と光電吸収からなるガンマ線の反応連鎖をトラックする技術開発を継続し、本課題の目的である極超変形の端緒が現れる可能性のある状態を生成する実験を実施する。
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