2019 Fiscal Year Annual Research Report
Role of early Earth materials for origin of life
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18H03729
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 理学研究科, 教授 (60250669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 善博 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00544107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 初期地球 / 化学進化 / 隕石衝突 / アミノ酸 / リボース / ホウ酸 / 核酸塩基 / 蒸発環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期地球における隕石衝突を模擬した有機分子生成実験を継続して行なった。前年度に整備した分析装置を駆使して実験を行なった。物質材料研究機構の一段式火薬銃を用いた実験で、窒素からの直接アミノ酸生成に成功した。その成果は、論文としてまとめられ、査読中である。同実験で成功した世界初のホルムアルデヒド生成に関しては、現在投稿論文作成中である。東北大学においても高温隕石衝突蒸発雲を模擬した実験を展開し、各種アミンやグリ シンの生成に成功し、その成果は国際アストロバイオロジー会議で公表され、大きな反響を呼んだ。さらに生成物の炭素窒素同位体測定を継続して行い、隕石衝突環境での有機物生成反応経路の特定を行なった。質量分析計の改良も行い、隕石衝突環境での硫黄を含んだ有機分子の生成過程を解明できるようにした。
生命起源の化学進化の 中で重要なステップである、アミノ酸のペプチド(タンパク質)化の実験も行なった。高圧条件および高温蒸発条件で実験を展開し、DKPの生成を押さえながらグ リシンの高重合体生成(現時点で世界記録である28量体)に成功した。ただ、その成果はショッキングであり、追試で次年度に検証する必要がある。ペプチドとともに生命起源に重要なヌクレオチド(RNA) 生成メカニズを解明するためにホウ酸に富んだ蒸発環境を模擬したホルモース反応実験も展開した。その結果、粘土鉱物や特定元素存在下で今まで考えられていなかった非アルカリ性条件で、リボースの生成やリン酸化が促進されることがわかった。リン酸化リボース上で核酸塩基も生成され、最終的にヌクレオチドに進化する可能性も新たに見出せた。成果は国際学会などで発表する一方、英語論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、以下の3つの課題をサブテーマとして取り組んでいる。初期地球環境の中で「生命の材料はどのように準備されたか」「どのようにタンパク質 や酵素ができたか」「RNAはどのようにしてできたか」である。この研究において隕石衝突再現実験や初期地球鉱物を用いてホルモース反応実験を展開し、アミノ 酸、核酸塩基、リボースの無機的生成を行うとしている。さらにそれら有機分子を初期地球環境模擬実験において重合させ、タンパク質、酵素、原始的RNAを生成 することを目指している。これら成果を統合し「初期地球物質」がいかに生命を誕生させるために重要な役割を果たしたか、地球物質無くして生命が誕生しえな かった新たな説を提唱する。前年度に購入した分析機器類をフルに活用し、今年度は、これら3つの課題に即し目的に合致した研究を展開し仮説に沿ったデータを得ることができた。その中には、隕石衝突環境でのアミノ酸生成(AbSciCon会議で発表)、ペプチド生成(地球化学会で発表)、リボースやヌクレオチドの存在の可能性や生成過程への制約(PNASに出版、地球化学会で発表)、これら分子の生命への組み立て過程に対する制約(Goldschmidt会議で発表)に関しての成果が含まれる。総合的に判断し、概ね目標は達成できたと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
初期地球環境の中で「生命の材料はどのように準備されたか」という課題に関しては、継続して隕石衝突模擬実験を展開する。生成物の組成依存性が高いことが 明らかになりつつあるので、時間が許す限り多くの実験を行う必要がある。多種のアミノ酸生成やプリン塩基生成はまだ成功していないので、生成に適した条件を探し出し、成功にこぎつけたい。「どのようにタンパク質や酵素ができた か」という課題を実行するために、様々な高圧実験や蒸発実験を行なっているが、まだ成功するに至っていない。天然試料中の酵素や初期地球岩石からヒントをえて、人工酵素生成にめどをつけたい。金属を含まない高重合のペプチド生成にも継続して取り組む。「RNAはどのようにしてできたか」に関しては、天然での条件(粘土鉱物の種類、リン酸とホウ酸が揃う環 境)が重要になり、その条件を探す試みも継続して行う。合わせて初期地球の隕石衝突に関連した特殊事象(大気組成に与える影響など)も継続して収集し、実 験に生かしていく。
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Research Products
(19 results)