2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development on non-destructive characterization of extraterrestrial materials including organics
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18H03739
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺田 健太郎 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20263668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朗 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40362610)
友野 大 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (40415245)
新倉 潤 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50644720)
河井 洋輔 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90726671)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非破壊元素分析 / 非破壊3次元分析 / 地球外物質 / ミューオン / 量子ビーム分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Muon特性X線分析は、C, N, Oのような軽元素を含む全元素を非破壊で測定できる革新的分析手法である、本研究は、炭素や窒素のような軽元素の感度を10倍あげるとともに、数百μmの空間分解能で元素イメージングする手法の確立を目指すものである。 今年度は、入射Muon粒子の飛跡をトラックする三段のドリフトチェンバーを、シミュレーション計算を駆使してデザインし、製作した。これにより入射ミューオンと検出した特性X線の同期を取ることで特性X線の発生位置を特定し、元素イメージングが可能となる。今年度はMuonビームタイムの確保ができなかったため、京都大学複合原子力科学研究所の陽子ビームを用いて、同装置の性能評価試験を行った。その結果、運動エネルギー7MeVの陽子の飛跡を約100μmの位置分解能で測定できることを確認した。このことから、実際のMuon照射分析において、ドリフトチェンバーとサンプルの距離が2mmの時には、X方向で107μm、Y方向で137μmの精度で、サンプル内部のMuonの停止位置が決定できると期待される。 並行して、低バックグラウンド化を目指し、Ge検出器をBGO結晶(Bi4Ge3O12)で囲むシステムをデザインし、製作した。さらにGe検出器を購入し、分析システムはほぼ揃った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先に述べたように、本研究は、炭素や窒素のような軽元素の感度を10倍あげるとともに、数百μmの空間分解能で元素イメージングする手法の確立を目指すものである。すでに、イメージング化に寄与するドリフトチェンバーの性能評価実験を終え、高感度化に寄与するBGO結晶とGe検出器も納入した。2020年2月の時点では概ね順調であった。 当初、英国Rutherford Appleton Laboratory (通称RAL)のパルスミューオンビームラインのマシンタイムを確保しており、3月に同実験施設の下見と実験打ち合わせ、5月に実際にRALに装置一式を持ち込んでMuon特性X線検出器のシステム全体の性能評価実験を行う予定であった。しかし新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、3月の実験施設の下見、5月のビームタイムともにキャンセルとなった。5月末の時点では、「やや遅れている」状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年5月末の時点では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、RALでの実験の目処は立っていない。現在、スイスのPSI(Paul Scherrer Institute)も含め、Muonを生成することができる世界中の高エネルギー加速器の運転に目処がたっておらず、したがってミューオンビームラインを用いたシステムの性能評価にも目処がたっていない。RALについては加速器の運転が再開するとともビームタイムを確保したいと要請しているが、マシンタイムの再配分方法については全く読めない状況である。 そこで苦肉の策として、高エネルギー宇宙線が地球大気と衝突することで2次的に発生する宇宙線ミューオンを用いた、特性X線分析の可能性についてシミュレーション計算を始めた。予察的な結果として、4cm×4cm×1cm厚の鉛の板に1ヶ月に1000個程度の宇宙線muonが停止することが試算できた。Ge検出器の立体角を稼ぐことで、宇宙線ミューオン起源の鉛の特性X線が検出できないか現在、検討を進めているところである。
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Research Products
(6 results)