2019 Fiscal Year Annual Research Report
Design innovation of breakwaters as a strategy for resilient coastal city against storm surges under super typhoon
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18H03796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 仁志 京都大学, 工学研究科, 教授 (40243068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 高二朗 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (50360764)
Khayyer Abbas 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80534263)
鶴田 修己 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (30747861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数値波動水槽 / 粒子法 / 大規模模型実験 / 高潮氾濫 / 超巨大台風 |
Outline of Annual Research Achievements |
超巨大台風下の高潮氾濫において激流化した越流水の挙動を様々な様式の防潮堤に対して普遍的に精度よく計算するには,数値波動水槽が必須である.本研究では,海岸波動の計算力学に邁進してきた京都大学工学研究科のグループと大型波動実験の研究拠点としての海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所が緊密に連携し,激流の高精度計算に不可欠な高精度粒子法の理論的ストックと大型模型実験の技術的ストックを融合し,焦眉の急を要する超巨大台風下の高潮氾濫に対応した防潮堤設計法の革新の加速的推進を目的とする.2年目となる平成31年度は,初年度に導入した設備・並列計算機システム(京都大学)およびPIVシステム(海上・港湾・航空技術研究所)を活用して研究を進めた.数値波動水槽に関しては,研究の中心軸である[1]粒子法の最大の弱点である圧力ノイズの画期的低減を可能とする技術として注目されている高精度粒子法の更なる高度化を継続した.初年度に行った[2]DEM型固液混相流モデルの改良による剛体・流体連成計算の効率化を受け,具体的な海岸構造物の津波越流被害のシミュレーションを行い,モデルの適用性を検証した.[3]局所3次元計算のための半陰解法型並列計算コードに関しては,堤体越流時の被覆ブロックの離脱問題など3次元性が顕在化する問題への適用を通して検証を進めた.一方,大型波動実験では,初年度に導入したPIVシステムと海上・港湾・航空技術研究所が保有する世界最大級の造波水槽(全長184m,深さ12m)を活用して,極値的越波による堤体基礎被災過程の解明に努め,数値シミュレータによる造波装置のシミュレーションへの適用性の高い境界条件処理手法の開発を行った.得られた成果,すなわち新たな計算技術や実験データに関しては,本報告書の項目10に記載の国際学術誌・和文学術誌等で公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の項目[1]粒子法の最大の弱点である圧力ノイズの画期的低減を可能とする技術として注目されている高精度粒子法の更なる高度化に関しては,成果を本報告書の項目10に記載の3編の全文審査付き論文(英文1編,和文2編)にまとめた.英文論文はWeb of Science core collection に属する主要国際journal(具体的にはApplied Ocean Research)に掲載された.項目[2]DEM型固液混相流モデルの改良による剛体・流体連成計算の効率化に関しては,成果を本報告書の項目10に記載の2編の全文審査付き論文(英文2編)にまとめた.英文の内1編はWeb of Science core collection に属する主要国際journal(具体的にはAdvances in Water Resources)に掲載された.項目[3]局所3次元計算のための半陰解法型並列計算コードの開発に関しては,本報告書の項目10に記載の論文「三次元高精度粒子法による海岸堤防裏法肩被覆ブロック離脱過程の数値解析」に開発したコードを活用した.また,大型波動実験に関しては,実施した実験のデータの一部を,2編の全文審査付き論文(和文2編)にまとめた.技術開発は順調に進行しており,初年度に引き続き多くの成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたとおり,本研究では,京都大学と海上・港湾・航空技術研究所の2拠点で数値波動水槽の高度化技術開発と大規模模型実験によるデータ収集を同時並行的に実施する.数値波動水槽に関しては,研究の中心軸である[1]粒子法の最大の弱点である圧力ノイズの画期的低減を可能とする技術として注目されている高精度粒子法の更なる高度化を継続する.この課題は粒子法型数値波動水槽の精度の鍵を握る課題であり,高度化の追求は必須である.[2]DEM型固液混相流モデルの改良による剛体・流体連成計算の効率化に関しては,砕波帯の漂砂力学にも適用を広げる.[3]局所3次元計算のための半陰解法型並列計算コードに関しては,堤体越流時の被覆ブロックの離脱の鍵となる裏込め石の吸い出し過程のシミュレーションなど,従来は計算が困難であった問題にも取り組む.一方,大型波動実験では,初年度に導入したPIVシステムと海上・港湾・航空技術研究所が保有する世界最大級の造波水槽(全長184m,深さ12m)を活用して,極値的越波による堤体基礎被災過程の解明に努め,数値シミュレータによる造波装置のシミュレーションへの適用性の高い境界条件処理手法の開発を行う.
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