2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of Construction Theory of Large Gossamer Space Structure System and Quest for Feasible Construction Scenario
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18H03817
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮崎 康行 日本大学, 理工学部, 教授 (30256812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名取 通弘 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 名誉教授 (00013722)
岸本 直子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60450714)
石村 康生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10333626)
上土井 大助 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (90816828)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大型宇宙構造物システム / ゴッサマー宇宙構造物 / 構造解析理論 / 構造設計論 / 構築シナリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
大型ゴッサマー宇宙構造物の実現に向けて,【課題1】挙動推定・製造・試験・組立・運用の容易さの観点からゴッサマー構造の大型化を可能にする構造概念・様式を明らかにすること,【課題2】展開,結合/分離等を,設計・開発・運用に耐えるレベルまで精密に予測できる力学理論を示すこと,【課題3】課題1,2の成果を具体的な構造物の例に適用し,その宇宙空間での構築手順を明らかにすること,【課題4】大型ゴッサマー構造の適用例に対し,その実現シナリオを示すことの4つの課題を設定し,以下の成果を得た. 【課題1】モジュール型自己展開構造をベースに,3Dプリンタの活用など製造・試験・組立・運用・挙動推定が可能な大型ゴッサマー宇宙構造物の様式の案を示した.そして,2m級の小型モデルを試作し,構造様式の案を検証した.また,展開挙動および静的形状の画像計測系を構築し,動作検証と課題を抽出した.さらに,太陽電池セルやアンテナ素子などの比較的厚い膜面や薄くても剛な膜面要素に対応した膜面構造様式を検討し、それらに対応したらせん折り展開膜面モジュール構造の設計検討を行った. 【課題2】局所ラグランジュ法による分離・結合ダイナミクスと,ALE法による自己展開ダイナミクスをEM法で定式化した.また,大型構造物の構築の要素技術として,展開構造物のジョイント機構による展開時の振動発生現象を明らかにし,ジョイント部の剛性の非線形特性評価を行った. 【課題3】課題1に示した構造様式の案に基づき,,10m級のスターシェードの概念モデルを試作して検証した.また,30m級大型平面アンテナの検討を行い,そのキーとなる,パネル間結合について,従来よりも結合力の大きく,かつ小型な結合機構を試作し,その機能・性能を確認した. 【課題4】SSPSに関して,HTV-Xによる展開実証を経て,基本モジュールを2020年代に実現するロードマップを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1から4まで,年度初めに設定した計画をほぼこなしている.また,課題1および3のスターシェードの研究成果により,大学院生が第62回宇宙科学技術連合後援会の最優秀発表賞を受章するなど,周囲から評価もしていただいている.ただし,まだ,「こなしている」というレベルであって,大型ゴッサマー宇宙構造物の実現に向けた,より詳細な数値計算や精密な実験まではできておらず,研究の「精緻化」が十分とはいえなかったと自己評価している. また,日本における社会情勢の急速な変化,すなわち,宇宙産業や宇宙科学分野における宇宙機の小型化の流れには対応が十分にはできていない.このまま小型化の流れが止まらなければ,日本では大型ゴッサマー宇宙構造物の実現は不可能で,実現するには海外で研究を実施せざるを得なくなる可能性もある.本研究の目的を達成するためには,この点を考慮しながら研究を進める必要があるが,2018年度については,社会情勢の把握と対策案を検討するまでにとどまっており,対策を打つところまでは至らなかった. 以上より,当初予定以上に進展したとまではいえないと自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
課題1,2については,今後も基礎研究・試作・検証を行っていく.特に,2020年度に予定している,航空機を用いた微小重力実験に向けて,供試体を製作していく中で明らかとなるであろう課題をフィードバックし,基礎研究を進めていくと同時に,大型ゴッサマー宇宙構造物の実現という目標に対する,「重力下での検証」,「航空機微小重力下での検証」の位置づけをより明確にすることで,本研究の価値をさらに高めていきたい.その際,「挙動推定・製造・試験・組立・運用の容易さ」の観点でモジュール構造をより深く研究することがキーとなるので,この研究を強化していきたい. また,課題3,4については,昨今の宇宙機の小型化の流れや,今後のHTV-Xをプラットホームとした宇宙実験システムの実現を考慮し,本研究で提案する大型ゴッサマー宇宙構造物システムを,数十kg級の超小型衛星での技術実証や10m程度の展開構造で宇宙実証する具体的な方法,すなわち,実機の設計を進める. 研究遂行上,問題があるとすれば,上述の通り,日本の宇宙科学において,宇宙機の小型化が主流となり,大型構造を必要とするようなミッションは国際共同プロジェクトで実現しようとする流れとなりつつある点である.この流れに沿って,本研究では,小型宇宙システムから展開効率の高いゴッサマー構造を展開するミッションの研究の強化と,国際共同ミッションの検討の2つを推進する必要があると考えている.そこで,前者については本研究の出口の1つに宇宙ビジネスを加えて,企業との連携を図っていくことで,展開前と比較して大型な構造の実現を目指す.後者については,まずは,例えばスターシェードの研究を行っている海外大学との連携を模索していき,大型ゴッサマー宇宙構造物の実現シナリオの精度を高めていく.
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Research Products
(13 results)