2018 Fiscal Year Annual Research Report
Nondestructive diagnosis of buildings by frequency shifted terahertz waves
Project/Area Number |
18H03827
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
水津 光司 千葉工業大学, 工学部, 教授 (20342800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 敬三 千葉工業大学, 工学部, 教授 (00633356)
内海 秀幸 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (10316804)
中林 寛暁 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20296320)
枚田 明彦 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40500674)
陶 良 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60327161)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / 非破壊検査 / 周波数シフト帰還型レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
導波管タイプのUTC-PDおよび増幅器2段を導入し、最大出力74mW、最大増幅率44dBのFSテラヘルツ波増強に成功した(水津)。水分含有率の異なるコンクリートサンプルに対し、THz-TDSによりエリプソメトリにて複素屈折率測定を実施した。乾燥過程および応力印加時における屈折率の変化が確認されたことから、テラヘルツ波によるコンクリート診断の端緒が得られた(水津、内海)。 THz-TDSを用いた高分解能イメージング技術において、偏波方向による反射体間の虚像の削減および凹レンズによる有効映像領域の拡大に成功した。高精度距離測定技術の蓄積として、超音波領域で時間反転波と感度補正を併用した複数チャンネル送信式の有効性、及びターゲット移動するダイナミックの条件下での感度補正信号と自己相関処理の有効性をそれぞれ見出した(陶)。円弧状合成開口アレーの信号を複数の仮想的な等間隔直線アレー信号に変換して相関低減処理を適用する位置推定法を考案し、従来識別できなかった波長間隔程度のターゲットを識別できることを確認した(長、中林)。THz-TDSに偏波解析を導入し、広帯域パルスを生かした新たなターゲット識別手法を確立した。かつ、金属平板を用いた校正量を用いることで識別精度が向上することを明らかにした。また、偏波解析だけでなく合成開口処理を導入(THz-POLSAR)することで、従来のテラヘルツセンシングで起こる焦点ずれを起こすことなく、アジマス方向に構造変化を持つターゲットの識別能力向上を実現した(中林)。 紙で覆われたコンクリート表面のサブミリ幅の亀裂の検知に向けて、近接場散乱を使用した非破壊ミリ波イメージングを実施した。紙の厚さやアンテナの高さが異なる場合に得られる2つのミリ波画像の差を計算することで、ミリ波像におけるひび画像のコントラストを最大3 dB向上することができた(枚田、水津)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
UTC-PDで発生させたFSテラヘルツ波に対し、増幅器を2段設けることで出力増強を試みた。導波管タイプのUTC-PDを導入し、120-260GHzの帯域に渡って20mWオーバー、最大で74mWのFSテラヘルツ波増強に成功した。増幅率は最大で44dBを得ており、当初の目標を超える高出力FSテラヘルツ波発生に成功した(水津)。水分含有率の異なるコンクリートサンプルを作製し、乾燥過程および応力印加時の複素屈折率測定を行った。THz-TDSによるエリプソメトリにより複素誘電率推定を行った。乾燥過程における屈折率の低下、および、圧力印加時における屈折率の増強が確認された(水津、内海)。 THz-TDSのSN比を向上させる手法としてM系列変調信号の導入を検討した。THzイメージング技術の実用化に向けて層状誘電体を介した場合での径路長補正方法を検討した(陶)。反射型測定で課題となる複数ターゲットからの反射波間の相関を低減して位置推定精度を向上する手法として、仮想的な等間隔直線アレー信号を複数生成して得られた方向推定結果の交点から位置を推定する手法を提案し、従来識別できなかった波長間隔程度の2つターゲットを識別できることを計算機シミュレーションで確認した(長,中林)。THz-POLSARを用い、アジマス方向だけでなくレンジ方向に構造変化を持つターゲットの観測について取り組んだ(中林)。 コンクリート上の紙厚が実効波長の 1/4 になると、厚紙内での干渉により反射信号強度が減少する。ひびがある場所では近接場散乱によりコンクリート界面での反射が弱くなるため、ひびがない個所と比較して反射信号強度が増加する。この性質を利用し、紙の厚さやアンテナの高さが異なる場合に得られる2つのミリ波画像の差を計算することで、ミリ波像におけるひび画像のコントラストを最大3 dB向上することができた(枚田)。
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Strategy for Future Research Activity |
EO検出によるビート周波数測定を、高強度FSテラヘルツ波により実現する。非線形光学結晶によって、励起2波長光(FSFレーザー光+単色光)とFSテラヘルツ波の和周波発生および差周波発生を行い、FSFレーザー光と同一波長成分のみを光フィルタにより選別し、光増幅器による増強後に光領域で用いられるフォトダイオードにて検波する(水津)。 THz-TDSのSN比向上のため、M系列変調信号の有効性についての実験的検討を行う。層状誘電体を介した場合でのTHzイメージングについての実験的検討を行う(陶)。測定データに対する有効性、ターゲットの位置、仮想アレーの素子数や配置位置などによる推定精度への影響を検討し、提案手法の適用条件を明らかにする。また相関波検出により有効な圧縮センシングなどの適用検討も開始する(長、中林)。レンジ方向に構造変化を持つターゲットの観測を確立するため、レンジ方向に層状変化を持つターゲットを作成し、ターゲット識別能力向上のために、どのような偏波信号処理法が効果的であるか検討を重ねる予定である(中林)。 コンクリートを対象として、内部空胞密度や乾燥過程における水分含有量をパラメータとした複素誘電率推定、および応力不可時の複素誘電率の変化など基礎的な材料評価を継続して実施する(水津、内海)。かつ、コンクリートの水分含有および塩分含有に対する新たな評価手法として、テラヘルツ波照射時の誘電緩和の変化を利用し、ケルビンプローブ顕微鏡による基礎検討を実施する(内海、佐藤)。 紙の厚さやアンテナの高さを変えるのではなく周波数掃引により、紙の上部とコンクリートとの界面での反射波の位相が反転する周波数を同定してテラヘルツ画像を取得し、他の周波数での測定結果で得られたテラヘルツ画像の差を計算することで、テラエルツ画像におけるひび画像のコントラストの向上を目指す(枚田、水津)。
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