2019 Fiscal Year Annual Research Report
Depinning of Fermi Level by Interface Structure Control
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18H03830
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 淳一 東北大学, 工学研究科, 教授 (10261588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コンタクト配線 / トランジスタ / ギャップ準位 / ショットキー障壁高さ / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はSi表面に非常に薄い熱酸化膜を形成することで界面準位密度を減少することでショットキー障壁高さ(SBH)を0.3eV まで減少することができたが、SiO2層が存在するため界面接触抵抗が10E-8から10E-5Ωcm2以上へと大幅に増加した。このため、今年度はn-Siとのバンドオフセットが小さいことで知られているTiO2層を形成して、Thermoionic Emission(TE)機構で界面の導電性を改善することを試行した。さらに、TiO2にNbを添加することでTiO2層そのものの導電性を改善することも試行した。 Nbを10%添加したTNOはTiO2と比較して低抵抗率になることを期待したが、Siと反応することを避けるために加熱をしなかったため、期待した低抵抗率は得られなかった。CV法を用いて界面準位密度を測定したところ、どちらの酸化物においても、最大値は酸化物が無い場合の値(10E16 m-2eV-1)と同等であり、酸化物を形成したことで、界面準位密度のピーク位置がEc側の0.8eVからバンドギャップ中心部の0.5eV まで拡張し、トータルの界面準位濃度は数倍に増加した。 SBHに関しては、酸化物を形成しその厚さを変化しても0.7 eVであり、ほぼ不変であった。このことは、高濃度の界面準位の存在によってフェルミレベルが強くピニングされたことを示している。接触抵抗に関しては、バンドオフセットが小さいため、TiO2あるいはTNOの厚さを5nmまで増加しても10E-8から10E-6Ωcm2に増加するにとどまった。 得られた結果は、熱平衡状態で形成したSiO2はSi表面の欠陥をパッシベーションする効果はあるが、TiO2およびTNOのようなヘテロ酸化物の場合は、パッシベーション効果はなく、むしろ産株うとSi界面での界面準位濃度を増加することになることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、コバルトシリサイドの界面接触特性を求め、得られた値を比較標準として、SiO2、TiO2、Ti(Nb)O2を界面に形成した場合の界面接触特性を測定し、その特徴と課題を明らかにした。現時点では、フェルミレベルをピニングから解放してSBHを低減する方法と、界面接触抵抗を低減する方法が両立していないが、得られた成果では、フェルミレベルがピニングされる界面状態とピニングから解放される状態を作り分けることができ、SBHを低減するためにあるべき界面構造と界面準位密度に関する基礎的知見を得た。 以上の成果をもとに最終年度の研究を実施することによって、目標を達成する見込みが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
スパッタ法によって形成したSiO2はSiのパッシベーション効果がなく、熱酸化処理によって形成したSiO2はパッシベーション効果があった。また、スパッタ法によって形成したTiO2系のヘテロ酸化物は界面準位密度を低減できないため、界面反応を利用してTiO2の形成を試みる。具体的にはSiの高温熱酸化および低温プラズマ酸化を行い、Si表面のパッシベーションを行う。この表面にTiO2ではなく金属Tiを成膜し、熱処理を行うことでSiO2を還元してTiO2を形成する。これらのサンプルの界面準位密度を測定し、スパッタ成膜したTiO2と比較する。得られる比較結果より、熱処理反応によって形成した酸化物層がどの程度界面準位密度を低減できる可能性があるかを明らかにする。また、熱処理反応によって酸化物層の厚さを1~5nmの範囲で均一に形成することで、SBHの値を界面全面で均一とする可能性を調査する。さらに、金属Ti膜に加えてTi合金膜を形成し、合金元素がTiO2のキャリア密度を増加することで空乏層幅を狭めてトンネリングを容易をするか、TE伝導を容易にするかを明らかにすることで、接触抵抗の低減を目指す。
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Research Products
(12 results)