2019 Fiscal Year Annual Research Report
Extraordinary plastic deformation of ionic inorganic crystals based on dislocation quantum structures
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18H03838
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松永 克志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20334310)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 転位 / 易動度 / 電子構造 / すべり変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン結合性ZnS結晶を暗室下で圧縮試験すると、通常の光環境下の場合と比較して飛躍的に大きな塑性変形が起こる。イオン結合結晶はイオン間の静電的反発により、すべり系が限定されたりへき開するため、室温のような低温では塑性変形が困難とされてきた。したがって、暗室下での大塑性変形能は従来の理論では説明できない現象である。そこで本研究では、この現象の起源を明らかにするため、ZnSなどの各種無機化合物結晶おける転位を第一原理計算により解析し、とくに転位コア領域における特異な電子状態と原子配列を系統的に調べる。さらに検証実験も行い、「転位量子構造」の学理構築を目的とする。 これまでの研究で、ZnS結晶における転位コアの電子状態を計算解析した結果、転位コアに局所的な静電ポテンシャル場があり、それが電子やホールといったキャリアを引き付けることを明らかにした。さらには、キャリアのトラップにより、転位コアの原子配列が再構成した状態で最も安定となることを突き止めた。 本年度は、このようなキャリアのトラップによる転位再構成構造の安定性について、その計算結果の妥当性を検証するため、スーパーセルのサイズ効果を調べた。原子数が2倍異なるスーパーセルを用いたところ、各種転位の形成エネルギーや再構成エネルギーについて、相対的な安定性を定量的に議論するに十分な精度があることを確認した。さらに、ZnTe結晶について同様な検討を行い、ZnS結晶と類似の傾向があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的に確認されている、拡張転位構造をどのように第一原理計算するのかについて、試行錯誤があったが、四重極子配列のスーパーセルを適用できることがわかった。また、最近の転位計算で報告されている水素終端モデルなども試行し、同様な結果が得られることも確認できた。このように計算手法を確立できたので、各種結晶への適用を行える段階に到達したといえる。おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
上のように計算手法を確立できたので、各種結晶へ適用し、系統的な議論ができる段階に到達したといえる。今後は、検証実験と計算解析を精力的に行い、転位量子構造の学理に基づいた当該現象の解明を行いたい
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Research Products
(1 results)