2020 Fiscal Year Annual Research Report
ポリオキソメタレートをメディエーターとするPtフリー燃料電池の開発
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18H03852
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
江口 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (00168775)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城間 純 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (00357245)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | ポリオキソメタレート / ヘテロポリ酸 / 酸化還元メディエーター / レドックスフロー型PEFC |
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| Outline of Annual Research Achievements |
(1)リンバナドモリブデン酸溶液の酸化還元挙動についてリン酸の添加効果を検討した。異なる濃度のリン酸添加溶液を用いて発電試験を行った。その結果、リン酸濃度の高い溶液ほど開回路電圧、得られる電流密度ともに増加した。これは、リン酸の添加により、溶液内にバナジウム多置換ヘテロポリアニオン種の割合が増加したためと考えられた。次に、同様の溶液を使用して、ヘテロポリアニオンの再酸化特性とリン酸濃度の関係を調べた。あらかじめ還元処理を施したヘテロポリ酸溶液にO2ガスを供給し、開回路電圧の経時変化を観察したところ、再酸化速度はリン酸添加量の多い溶液ほど低下した。リン酸添加によるpHの低下が再酸化反応に低活性なヘテロポリアニオン種の割合を増加させたと考えられた。これまでの検討結果より、リンバナドモリブデン酸溶液へ硫酸、Na2HPO4、リン酸を添加すると、ヘテロポリアニオンの酸化特性と還元特性はトレードオフの関係を示すことが明らかとなった。
金属イオン添加がリンバナドモリブデン酸溶液を用いたレドックスフロー型PEFCへ与える影響を検討した。Fe2(SO4)3およびCuSO4を水溶液へ添加し、発電試験を行ったところ出力密度が増加した。
(2)負極の酸化還元媒体の還元再生反応について、Ｃ－Ｃ結合の切断も含むアルコール等の燃料を用いた反応について、メディエーター型の燃料電池の利点を生かし、触媒反応槽のみ加圧・加温するシステムの構築を検討した。しかし、現状での反応速度が遅いことから、有意な還元反応速度を測定できる実験の構築に至らなかった。実験系が複雑で溶液量が多いことが迅速な反応速度評価を妨げていることから、ガス拡散電極をコンパクトな筒状電極に収めるなどの変更を行った。これにより、ポンプ等の必要なレドックスフローセルを用いることなく簡便に高温での反応速度の検討を行う小容量の単一ビーカー実験が構築できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)正極の酸化還元媒体については、硫酸、Na2HPO4、リン酸の添加において、添加量に対して酸化反応と還元反応の間でトレードオフの関係が確認された。金属イオンの添加の影響についても検討を進めており、レドックスフロー型PEFCの定常運転において酸化還元媒体の最適な溶液組成の決定を目指す。
(2)負極酸化還元媒体としてのヘテロポリ酸に関しては、負極メディエーターと燃料の反応速度に関する体系的なデータの取得に至っておらず、予定を下回っているが、簡便な測定法の構築ができたため、今後の進捗の加速が期待できると考えている。
(3)Pt不使用のレドックスフロー型PEFCの開発とセル最適化の検討に関しては、引き続き「温度差・圧力差の設定可能な触媒反応槽」の構築に向けて改良を進められる見込みである。
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| Strategy for Future Research Activity |
(1)金属イオンがヘテロポリアニオンの酸化還元挙動へ与える影響を評価する。これまでに、いくつかのヘテロポリ酸において、水溶液中に銅カチオンや鉄カチオンといった金属カチオンを添加すると、ヘテロポリアニオンの再酸化反応速度が向上するという報告がある。種々のヘテロポリ酸について、この添加効果を確認し、レドックスフロー型PEFCに適したヘテロポリ酸と添加成分の組み合わせの提案を目指す。
(2)Ｃ－Ｃ結合の切断を伴う燃料利用は低温型での燃料電池反応としては困難で、実現できればインパクトが大きいと考えられることから、Ｃ－Ｃ結合を切断する反応の最も単純な燃料としてシュウ酸を対象に反応速度を測定し、実現可能性の検討を行う。触媒としてフタロシアニン系の錯体など均一触媒を中心に、昨年度構築した小容量単一ビーカーセルにより検討を行う。また、温度差、圧力差の設定可能な触媒反応槽の構築を進める。
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