2018 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of Si composition for internal hydrogen generation and elimination of hydroxyl radicals
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18H03862
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90195800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 徳七 大阪大学, 理学研究科, 講師 (20273732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体内水素発生 / ヒドロキシルラジカル / 酸化ストレス / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン微細粒子の表面処理方法として、過酸化水素水処理、特にその濃度依存性を検討した。過酸化水素水の濃度を、3%、5%、10%、20%に設定した場合、シリコン微細粒子上に形成される酸化シリコン膜の膜厚は、1.0nm、1.1nm、1.6nm、1.8nmと過酸化水素水の濃度と共に増加した。pH8.3、36℃の腸内擬似環境の下で5時間かけて発生する水素量は、3%過酸化水素水処理で276mLであったが、15%過酸化水素水処理では428mLに増加した。過酸化水素水の濃度を増加することによって、シリコン微細粒子の親水性が向上し、水との反応性が向上した結果と結論した。 pH調整剤として、Na2CO3+NaHCO3が有効であることを見出した。このpH調整剤は無毒であり、食品や医薬品に適用できる。Na2CO3とNaHCO3の濃度比を変化させることによって、pHを8.2~10.0に容易に調整できる。シリコン微細粒子と36℃の水溶液を20 時間反応させ発生した水素量は、77mL(pH8.0)、564mL(pH8.5)、782mL(pH9.0)、1079mL(pH9.5)、1382mL(pH10.0)とpHの増加と共に増加した。一方、水素発生反応前後で、pHは変化しなかった。この結果から、水素発生反応に、水酸化物イオンが触媒として働いていることがわかった。 シリコン微細粒子の形成条件を調整して、種々の結晶子サイズを持つシリコン微細粒子を形成した。水素発生速度は、サイズを小さくすれば増加した。一方、5日間に発生する水素発生量は、ほとんど結晶子サイズに依存しなかった。 シリコン微細粒子を含有するシップ剤を作製した。シップ剤を1日間炎症が起きている皮膚に張り付けることによって、炎症が抑制されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコン微細粒子の水素発生能を、表面処理及びpH調整剤によって、800mL/g以上に向上させることができている。これは、当初計画以上である。シリコン微細粒子のサイズと水素発生能の関係も、見出すことができた。シリコン微細粒子を含有するシップ剤により、炎症が抑制されることも見出すことができた。一方、レーザー誘起蛍光法によるヒドロキシルラジカルの観測に関する研究が、若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引続き表面処理方法を検討して、シリコン微細粒子の水素発生能をさらに高める予定である。また、医薬品に繋げるために、シリコン微細粒子の安全性を確保する。特に、シリコン微細粒子が血管に侵入して脳梗塞等を起こさないことを証明する。シリコン微細粒子のサイズ(結晶子サイズおよび凝集体サイズ)を制御するとともに、たとえ血管に侵入しても問題がないことを証明する。このため、血液環境(pH~7.4、36℃)において、シリコン微細粒子から生成する酸化シリコンの溶解速度を求める。 皮膚から放出されるヒドロキシルラジカルを、レーザー誘起蛍光法によって観測するため、装置の感度向上を図る。皮膚とレーザー光の距離を小さくするとともに、蛍光の取り込み角を広げることによって、感度を向上させる予定である。
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