2020 Fiscal Year Annual Research Report
音波を用いたスピン流の高効率生成と伝導制御に関する研究
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18H03867
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
能崎 幸雄 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30304760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 禎通 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (60005973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スピン流 / スピン渦度結合 / 表面弾性波 / スピン波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、環境負荷の低い物質を高性能なスピントロニクス材料とするため、全く新しい原理に基づくスピン流生成機構の基礎物理を解明することにある。具体的には、格子変形に含まれるマクロな角運動量(渦度)を非磁性金属薄膜中のミクロな電子スピンに変換するための物理解明と実験検証を行い、以下の成果を得た。 スピン渦度結合を定量的に理解するため、渦度ベクトルの向きが90度異なるレイリー波とラブ波によるスピン流のスピン偏極方向とそのスピン緩和長を調べた。スピン流により励起したスピン波共鳴の強度の外部磁場依存性より、前者はスピンホール効果と同様にスピン偏極とスピン角運動量の流れが直交するスピン流が生成されるのに対し、後者はスピン偏極と流れがコリニアなカイラルスピン流が発生することを明らかにした。さらに、温度、膜厚、および周波数依存性がスピン流とカイラルスピン流で異なることを初めて発見した。 次に、磁性体や貴金属の格子回転とスピン角運動量の変換効率を定量的に議論するため、バーネット効果を用いた格子回転の定量解析法を開発した。磁気弾性効果が無視できるFe-Ni合金薄膜にレイリー波を注入したところ、格子回転とNi-Fe合金の磁化の結合に由来するスピン波共鳴を観察することに成功し、その強度と格子回転振幅の相関を説明する計算モデルを構築することにより、ピコメートルオーダーの極微な格子回転を電気的に検出することができた。これにより、ギガヘルツオーダーの格子回転を与えることにより、キロヘルツオーダーの液体金属渦に比べてスピン流変換効率が3桁以上増加することが分かった。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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