2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of interface formation and electronic properties of power semiconductors through quantum theoretical computics
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18H03873
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
押山 淳 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任教授 (80143361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洗平 昌晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20537427)
松下 雄一郎 東京工業大学, 物質・情報卓越教育院, 特任准教授 (90762336)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンピューティクス / 密度汎関数理論 / デバイス界面 / エピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度における、パワー半導体表面界面系に対する計算で得られた成果としては、(1) GaNデバイスのゲート絶縁膜として、シリカとアルミナの混合アモルファス酸化物 AlSiO = (SiO2)x(Al2O3)1-x がデバイス特性を改善することの提唱、(2) GaN中のらせん転位はアクセプター原子Mgと結合し、漏れ電流の起源となることの解明、(3) GaNのステップフローモードのエピタキシャル成長機構解明、があげられる。 (1)については、第一原理MD法に基づく熔融クエンチ法によりアモルファスAlSiOを作成し、そこでの酸素空孔の構造と電子準位を明らかにした。その結果、Alに囲まれた酸素空孔の生成エネルギーは高く、Siに囲まれた酸素空孔ができやすいこと、Siに囲まれた酸素空孔はGaNのギャップ中に電子準位を引き起こさないこと、がわかった。これにより、AlSiO絶縁膜は絶縁破壊に対する耐性が高いことが示唆される。 (2)については、らせん転位芯の原子構造を初めて明らかにし、さらに、その転位芯はMg原子をひきつけることがわかった。この転位芯とMgの複合体形成により、アクセプター準位が価電子帯に埋没し、一方、転位芯起因の準位が伝導帯近くに上昇し、ドナー的振る舞いをすることがわかった。これはpn接合中のらせん転位は、p型領域のMgをひきつけ、その領域をn型に変化させてしまうこと、したがって逆バイアス下での漏れ電流を引き起こすこと、を示している。 (3)については、Gaリッチな成長表面でのステップ構造を網羅的に探索し、それらの原子構造とステップ生成エネルギーを計算した。さらにテラス上でのアンモニアの分解によって生じたNHユニットがテラス上を0.6 eVの拡散障壁を超えてステップ端に到達し、Ga 原子とともに、水素原子の脱離を促し、ステップフロー成長が起こることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OFDFTの運動エネルギー汎関数開発においては、令和元年から令和2年にかけて繰り越しを行うことにより、transferability (一般性、汎用性)と高精度を併せ持つ汎関数の開発に成功した[令和元年度様式C-7-1参照]。 RS-CPMDによるアモルファス作成については、これまでの高速化、高度化により、1000原子超をターゲットとして、SiO2アモルファス作成が順調に進んでおり、第一原理MD計算としては、他に類を見ない大規模、長時間シミュレーションが進んでいる[令和元年度様式C-7-1参照]。 SiC、GaNのエピタキシャル成長機構の解明については、素過程の量子力学計算による解明が順調に進んでいる。 さらに、デバイス構造における欠陥複合体(今年度はらせん転位―アクセプター複合体)の原子構造と電気的特性の解明が進んでいる。 パワーMOSFETでの半導体/ゲート絶縁膜界面については、最適な絶縁膜の材料探索が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
深層学習を用いた運動エネルギー汎関数の開発により、高精度OFDFTスキーム開発に成功した。また、このスキームで計算コストを検証した結果、5000原子系までオーダーNが実現されていることを確認した[令和元年度様式C-7-1参照]。しかしながら、Nに対するスケーリングとはべつに、全エネルギーの電子密度汎関数微分方程式であるオイラー方程式を解く際に、その解の収束性が極めて悪いことが判明した。令和3年度にはこの収束性の改善に傾注する。その後、原子に働く力の計算部分をインプリメントし、高速オーダーN分子動力学法を確立したい。 RS-CPMDによるSiO2アモルファス作成については、データが2,3か月以内に出そろうと期待されるので、シミュレーションのパラメータの違いによるアモルファスの静的構造、動的因子の違いを系統的に明らかにし、シミュレーション技術の確立をはかりたい。 SiCエピタキシャル成長機構解明については、表面ステップ構造の同定が終了したので、次の段階として、エピタキシャル成長に寄与する原子・分子の表面テラス上での拡散、表面ステップ端での膜中への取り込み過程を令和3年度に解明する。 GaNエピタキシャル成長機構解明については、令和2年度にGaリッチ成長表面でのステップ構造の決定とそこでの窒素関連ユニットの取り込み過程解明が行われた。令和元年度-2年度に得られた、成長温度での表面液体化を視野に入れ、有限温度でのステップ端取り込み反応の解明に進む。 ゲート絶縁膜については、今年度明らかになったAlSiOアモルファスの優位性に着目し、AlSiO/GaN界面構造の決定と電子準位同定に進む。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Screw dislocation that converts p-type GaN to n-type: Microscopic study on Mg condensation and leakagae current in p-n diodes2020
Author(s)
T. Nakano, Y. Harashima, K. Chokawa, K. Shiraishi, A. Oshiyama, Y. Kangawa, S. Usami, N. Mayama, K. Toda, A. Tanaka, Y. Honda, and H. Amano
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 117
Pages: 012105(1-5)
DOI
Peer Reviewed
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