2019 Fiscal Year Annual Research Report
層状結晶性有機半導体を用いる全塗布型・超高精細TFTアレイの開発
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18H03875
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 達生 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00242016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 寿樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30761324)
荒井 俊人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40750980)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 有機エレクトロニクス / プリンテッドエレクトロニクス / 銀ナノインク / TFTアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超高精細な金属細線印刷が可能なスーパーナップ法と、高均質な層状結晶性有機半導体の統合と高度化により、全塗布型・高精細・高性能なTFTアレイの製造技術確立を目指した研究開発を実施した。まず、①スーパーナップ電極を用いた低電圧駆動のデバイス構造構築では、比較的複雑な構造を有するTFTアレイ用電極を高精細かつ再現性良く得るため、銀ナノインク改質の検討を行い、粘性の制御や含有アルコール量の制御等が、高精細(400ppi)な印刷電極構築のため有効なことを確認した。②高撥液なCytop表面上での半導体塗布技術の開発では、前年度に優れたスイッチング特性が得られたDA型ポリマー半導体TFTについて、各デバイス要素を変えた場合のサブスレッショルドスイング(SS)値・バイアスストレス効果・コンタクト抵抗等への影響について詳細に検討した。結果、DA型ポリマー半導体では、TFT特性に影響を与える2種類のトラップがあることを明らかにした。また低分子系半導体の製膜について、2分子膜構造により優れた層状結晶性を示すPh-BTBT-Cn系では、気液界面で薄膜成長が進行することに着目し、類似のシャボン膜の形成メカニズムをヒントにして、高撥液なCytop表面上に高均質な結晶性薄膜を形成する手法についての手がかりを得た。③有機半導体材料の高度化では、層状結晶性・溶液プロセス性・熱安定性を備えた低分子系半導体の開発をさらに進めた。特にBTBTT等の新規拡張π電子骨格にアルキル鎖を置換した非対称分子系で高い層状結晶性と優れた半導体特性を得られることを確認した。またBTBT系やBTNT系において、アルキル基やフェニル基等の置換位置やフェニルエチニル基等の新たな置換基の導入により、結晶構造やこれに伴う半導体特性の制御が可能なことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
低分子系半導体の製膜について、従来の溶液塗布法ではできない高撥液なCytop表面上に高均質な結晶性薄膜を形成する手法として、シャボン膜の形成メカニズムをヒントにした全く新たな手法についての手がかりを得ることができた。低分子系半導体の塗布において、研究は当初の予想を越えてきわめて大きな進展を遂げつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
超高精細な金属細線印刷が可能なスーパーナップ法と、高均質な層状結晶性有機半導体を組み合わせた、全塗布型・高精細・高性能な薄膜トランジスタアレイ製造技術の確立をさらに進めていく計画である。特に最終年度である3年目においては、400ppiの精細度のTFTアレイ構造の構築を進めるともに、高急峻なスイッチング特性と高いデバイス移動度を併せもつ優れた低分子系半導体の塗布製膜手法の開発と、これに適した分子開発を進めていく計画である。
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